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文化的消費活動の日記

トーマス・シェリング 『ミクロ動機とマクロ行動』

 

ミクロ動機とマクロ行動

ミクロ動機とマクロ行動

 

 昨年の暮れに亡くなったノーベル経済学賞受賞者の本(これも山形浩生さんのブログで、面白そう、と思った)。人が他人のふるまいをみて自分の行動を決定する(ミクロ動機)と、そのつながりによって社会的な現象が生まれる(マクロ行動)。これを経済学のさまざまなモデルを使って捉える方法を紹介している。取り上げられている事象や、筆者の語り口がとても愉快。たとえば均衡分析をする経済学者が「均衡状態」をやたらとありがたがっているいる点を皮肉って「首吊り死体は揺れが止まったときには均衡しているわけだが、誰も死者が万事OKだとは思うまい」とか表現する。クルーグマンが絶賛した本、と帯にはあるけれど、経済学ってこういうことも扱えるのか、とイメージが変わりそうな一冊だと思う。なお、数式はほっとんどでてきませんので、数式アレルギーの人でも大丈夫です。