sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

2017年6月に聴いた新譜

怒涛の5月が終わった、と思ったのだが怒涛の6月が続いており、気がつくと女性ヴォーカルのR&Bばかり聴いていた気がする。

シャロン・ベンソン

シャロン・ベンソン

 

なかでも良かったのは、シャロン・ベンソン。90年代R&Bに売れ損なった英国のR&Bのアルバムの再発とのこと(松尾潔のラジオで流れていた)。大変に名曲揃いであって、聴いてると昨今のR&Bのトレンドのなかに90年代のエッセンスがいかに取り込まれているのかをしっかりと理解できるような。


Sharon Benson-Rock Me Down

とくにこの曲は、今月、仕事が終わった帰りの電車のなかで、自然と聴きたくなった。甘やかな調べに包み込まれ、リラックスできる。

Voyager [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC549)

Voyager [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC549)

 

アメリカのMoonchild(裸の太陽〜、で有名なMoon Childではない)もめちゃくちゃ聴いた。メロウもメロウ、どメロウすぎてもはやイージーリスニングの域に達している気もするのだが最高。超オシャレ。超モテそう。

3-D THE CATALOGUE

3-D THE CATALOGUE

 

Kraftwerkが近年続けていた3D映像付きのライヴ・ツアーの音源をまとめたものも今月前半はよく聴いていた気がする(なにせ、これ、CDでいったら8枚組なので時間をとられるわけである)。改めて聴いたら「テクノのパイオニア、的な語られ方するけど、そんなに踊れる曲があるわけじゃないし、牧歌的な音楽だよなぁ……」と思う。メディア・アーティストのようだけれども、そこまで先駆的なことをやっているわけではないし、もはやベンチャーズとか伝統芸能の世界に近い。もはや時代のほうが彼らの考えていた「未来っぽさ」を追い越してしまって、彼らの音楽が携えているムードが「永遠のレトロ・フューチャー」というか、小松崎茂的な世界観に落ち着いてしまっている。そこが良いんだけれども(最新機材を使っても、昔の曲が大きく変わるわけでもないし)。

サニーデイ・サービスの新譜、Apple MusicとSpotifyの配信でしかリリースしないというヤツも良かったな。前作『DANCE TO YOU』の延長線上、かつ、より密室におけるダンス・ミュージック的な雰囲気が高まっている。ceroとかああいう今様R&Bに呼応する日本の若いバンドの影響が曽我部恵一にもきているのか?、と思ってしまうのだが、「曽我部恵一の音楽」の大枠をまったく超えておらず、その結果、かなり独特な音楽になっている気がする。

Ctrl

Ctrl

 

シザのファーストは待望の、といっても良かった。ずっと彼女の活動を追ってきた、というわけではないのだけれど、ここ1年ぐらいR&Bを聴いていたら、やたらとヴォーカル参加で名前を見て、彼女の参加している曲がことごとく刺さったから。派手な感じは全然ないんだけれども、とにかく声が好きで。

Collxtion II

Collxtion II

 

同時期にでたカナダ出身のSSW、アリー・エックスも面白く聴いていた。これ、なんかちょっとK-Popっぽい感じがあって。トラックには力を感じてカッコ良いのだけれども、ヴォーカルにそこまで力強い感じがない(下手なわけではないのだが、結構脱力系のヴォーカルである)、そのバランスの悪さがK-Popっぽいし、あと、そもそものメロディラインがK-Popっぽいのだった。 

何度でも新しく生まれる(DVD付)

何度でも新しく生まれる(DVD付)

 

先月も言及したMondo Grossoだが、まだアルバムのほうはよくわかってない。ひさびさにUAの歌声を聴いたな、と思ったが……。

Another Love Song

Another Love Song

  • アーティスト: NE?YO
  • 出版社/メーカー: Digital Distribution Palestinian Territory Occupied
  • 発売日: 2017/05/30
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ニーヨのシングル。ニーヨによるブギー、と松尾潔のラジオで紹介されていて、すげえ繰り返し聴いた。エグエグ、ブリブリのブギーじゃなくて、ちょっとソフトな感じなのが、ニーヨのセンスなのか。この路線でアルバムが来たら、最高だろうな、と期待が高まる。 

I'm Not Your Man

I'm Not Your Man

 

マリカ・ハックマンにはビックリした。これが2作目となるアルバムだそうだけれども、センス爆発。宅録っぽい空気感のなかで初期のレディへやニルヴァーナを彷彿とさせるものを見せてくれる。

The Extinct Suite

The Extinct Suite

 

昨年のセカンド・ソロ『Tender Extinction』に引き続いてのスティーヴ・ジャンセンのサード。1トラック、1時間弱の組曲で、セカンドを再構成したもの、という位置付けらしい。ほとんど全編がアンビエントなドローンによって占められたインストなのだが、時折、スティーヴ・ライヒ的なリズミカルな要素がでてきて、ハッとさせられるような美しさがある。

The Singles [帯解説 / HQCD(高音質CD)仕様 / 国内盤] (TRCP214)

The Singles [帯解説 / HQCD(高音質CD)仕様 / 国内盤] (TRCP214)

 

Canのシングル集。「Future Days」にシングル・エディットとかあったのか! と驚きつつ聴く。

Sintetizamor

Sintetizamor

 

ジョアン・ドナート、御歳82歳が息子のドナティーニョと組んだ衝撃のアルバム。ブギー・ディスコのトレンドを完全に取り込んで「ブラジルのDaft Punk」みたいなことになっている。ジャケットの狂気具合もすごい。 

Weather Diaries

Weather Diaries

 

Ride、21年ぶりのアルバムとのこと。初めて聴いたが、tdさんが狂喜するのも納得のサウンド、というか、こんなの嫌いになれるわけがないでしょう、というギター・サウンド。

覆面女性R&Bシンガー、H.E.R.のセカンド。「ザ・今様R&B」って感じで内容はもちろん悪くないのだが、覆面、であることによって損してる部分もあるよな、と思わなくもなかった。結局、歌を聴くときに、その歌い手のパーソナリティとか汲みながら聴いたりするわけで。覆面であることは、歌い手への共感であるとか、感情移入とかの手がかりを完全絶ってしまうことになる。

Deep green

Deep green

 

chelmicoのMC MAMIKOのソロ。これもシャレオツな感じで良かったな。 

Destiny

Destiny

  • アーティスト: シェネル,間智子,Mario“Silver Age”Parra,クリス・ジャクソン
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2017/06/14
  • メディア: CD
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あとシェネルの「Destiny」もカッコ良かった。このシンガー、最近初めて知って、May J.的な、ハーフ系の方かと思ってたんだけど「え、日本人じゃないの?(しかも、日本語喋れないの!?)」と衝撃を受けた。山下達郎が英語喋れないことを知ったときと逆ベクトルの衝撃、というか。表題曲は松尾潔作詞。