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文化的消費活動の日記

レイモンド・チャンドラー 『ロング・グッドバイ』

初チャンドラーだったのだが、すごい小説すぎて腰が抜けそうになった。散りばめられた伏線が終盤どんどん回収されていく気持ち良さ、(月並みな表現だが)読者の裏をかく展開。ひとつの完璧な、閉じられた世界が小説のなかで構築されている感じがする。こういう小説は読み終わるとさびしい気持ちになるな……。会話のリズミカルな気持ち良さもあってかなり長い小説なのだが一気に読めてしまった。緩急がすごいよな、と。おセンチなトーンが全体を支配しているのだけれども、ものすごい笑わせてくる魔球みたいな球を瞬間的に放り込んでくる。

巻末に寄せられた訳者、村上春樹による長い解説もグッド。