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文化的消費活動の日記

2017年10月に聴いた新譜

Stranger in the Alps

Stranger in the Alps

 

先月は異常に忙しくて新譜もあんまりちゃんと拾えなかった感じがしたが、今月は豊作。なかでもLAの新人SSW、フィービー・ブリジャーズは「今の気分」って感じでもあり、すごい人でてきちゃったな、という感じがした(畏友、tdさんのブログで知る)。ジョニ・ミッチェルに影響をうけたらしいのだけれども、ニック・ドレイクエリオット・スミス的な響きもある。正直、最近のUSの女性SSWっぽい音だとは思ったのだが、歌詞が「どメンヘラ」っぽくて心配になりつつよく聞いた。


サビの歌詞が「わたしは情動障害をかかえてる」って……。

Harmony of Difference [輸入盤CD](YTCD171)

Harmony of Difference [輸入盤CD](YTCD171)

 

おそらくいま最も注目されているサックス奏者であろう、カマシ・ワシントンの新譜も良かった。前作で大ブレイクした、という認識でいいのだろうか。個人的には、前作はすげえ長いし、コルトレーン直系のスピリチュアル・ジャズですね、って感じでスルー気味であったのだけれども、本作はコンパクトにまとまっててサイズ感もちょうど良く、なによりアーバン、田中康夫的な言葉のチョイスをするならば、アーベインなスピリチュアル・ジャズ、という感じで良かった。基本、スピってるのに都会的、っていう、それ、ちょっと新しい気さえするよね、と。

Wallflower

Wallflower

 

ジョーダン・ラカイは、オーストラリアのネオ・ソウルの人だそう。最初「ああ、ジェイムス・ブレイクっぽい感じの人ですか」と思っただけで思ってしまったのだが、何度か聴くうちに、悪くないね、と落ち着いた。これも今様R&B、で語り捨てることも可能なのだろうけれども、Radioheadみたいな「UKロックの暗い人たち」的なエッセンスもあって面白い。

Take Me Apart [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC560)

Take Me Apart [帯解説・歌詞対訳 / ボーナストラック2曲収録 / 国内盤] (BRC560)

 

今月はデビュー・アルバムをよく聴いたのかもしれない。ケレラのアルバムもそう。ジャケットをみると、まぁ、普通に今様なR&Bなのかな、というイメージが湧いてくるし、実際、ポストダブステップというか、そういう音ではあるのだが、ちょっと次のステージに行っているのではないか。打ち込みが大暴れしてAphex Twinかよ、という瞬間さえあり、また、過剰にリバーブ & ディレイがかけられて、音像がなんだかよくわからなくなっている曲もある。新人歌手を売り出す、って感じがあんまりしない。なお、tdさんもブログで紹介しているので要チェック。

CRACKLACK

CRACKLACK

 

大変にキャリアが長いバンドであって、ずっと名前だけ聞いたことがあったSCOOBIE DOを初めて聴いた。おお、こういうバンドだったのか、カッコ良いですね、と思ったし、20年以上やってて、今現在が一番こういう音を評価している時代なのでは、という気もする。ceroとかSuchmos聴いているティーンにも受けそうだし、なんなら、そういう新世代のバンドよりも、グッとくる堅いポップさがある。

COLORS [CD]

COLORS [CD]

 

ベックの新作。前作は『Sea Change』の焼き直しみたいなアルバムだったが、本作は『The Information』の焼き直しみたいだなぁ……と思った。もちろん悪くない。手抜きがないし、内容をしっかり感じる。けれども大きな驚きがない。

Various: a Lute By Sixtus Rauw

Various: a Lute By Sixtus Rauw

 

寒くなってくるとクラシックが聴きたくなってくる。で、今月はマーラーとかブルックナーとかを改めて聴き直していたのだが、一方で、クラシックの新譜もチェックしていた。スウェーデンリュート奏者、ヤコブ・リンドベリによるフランス・ドイツのバロック期のリュート曲集。ある程度、クラシックは一通り聴いた、と自負するステージに入ってくると、この手の古楽が面白いですね。古い音楽、だけれども、新鮮で。リュートってこんな音がする楽器なんだな……。深みを感じる。

Bach & Weiss

Bach & Weiss

 

リュートではもう一枚。バッハの《ヴァイオリンとチェンバロのための組曲》をヴァイオリンとリュート編曲にしたもの、そしてバッハと同時代の作曲家、ヴァイスによるリュート組曲、あとはバッハのヴァイオリン・ソロによるパルティータ第2番が収録されている。良かったですね、これも。ヴァイオリンのヨハネス・プラムゾーラーはアンサンブル・ディドロという室内楽アンサンブルも主宰しているとのこと。

Barbara

Barbara

 

クラシックではもう一枚。フランスのピアニスト、アレクサンドル・タローによる没後20周年のシャンソン歌手、バルバラのトリビュート盤。この人はいきなりラフマニノフを録音してみたり、次にどんなことをやってくるかが予想がつかない音楽家であるな……と驚嘆した。 

あとは、以下のようなものを。

Bluebird of Happiness

Bluebird of Happiness

 
Serpentina セルペンティーナ

Serpentina セルペンティーナ

 
Our Point of View

Our Point of View

 
CARRY FIRE [CD]

CARRY FIRE [CD]