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文化的消費活動の日記

関根浩子 『サクロ・モンテの起源: 西欧におけるエルサレム模造の展開』をご恵投いただきました

サクロ・モンテの起源: 西欧におけるエルサレム模造の展開

サクロ・モンテの起源: 西欧におけるエルサレム模造の展開

 

担当の(美人)編集者の方からご恵投いただく(ありがとうございます!)。「サクロ・モンテ」という言葉自体、本書で初めて知ったのだが、出版社の紹介ページを読んで大変興味深いものだなと思った。

山上の聖地、サクロ・モンテ

エルサレムの一種の模造建築、聖地パレスティナの代用巡礼施設、プロテスタントに対するカトリックの要塞などさまざまに解釈されてきた宗教施設「サクロ・モンテ」。その起源は、聖地巡礼の実践の必要性が次第に失われた中世以降、危険な長旅を敢行できない者に巡礼の機会を提供すべく導入された代用の巡礼地の最終形態、「代用エルサレム」にある。

中世西欧の巡礼や聖地模造の伝統を受け継ぎ、北イタリアの宗教的諸事情の中で独自の近世的形態を獲得したその歴史を明らかにする。

なるほど、伊勢神宮とか出雲大社の分社みたいなものか……という理解。しかし、ホンモノにアクセスできない代わりに、ホンモノにアクセスしたのと同じ効用がこれにはあるんですよ、というシステムがキリスト教世界にもあったのか、というのが驚きで、このシステムにおけるホンモノと、言うなれば、そのコピーの関係は、ベンヤミンの議論も想起させもする。じっくり読ませていただきます。