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出村和彦 『アウグスティヌス: 「心」の哲学者』

アウグスティヌス――「心」の哲学者 (岩波新書)

アウグスティヌス――「心」の哲学者 (岩波新書)

 

引き続き「アウグスティヌス強化月間」的な流れで岩波から最近でたばかりの新書を。いま一番新しいアウグスティヌス関連本、なのかな。著者はアウグスティヌスの大権威ピーター・ブラウンによる彼の伝記を翻訳者。サブタイトルにあるとおり、西洋哲学のなかではじめて意思を問題化した思想家としてアウグスティヌスをとりあげている。彼がどんな生涯を送ったのか、どんな業績があったのかをダイジェスト的に知るには良い本。というか、いま日本語で読めるものではこれ以外に選択肢なし、というのが実際か。文献案内も親切だ。

とはいえ、ダイジェストがダイジェスト過ぎて「この本をとっかかりとして、どう深く読んでいくか」みたいなところがよくわからない感じがした。新書だから、そこまで求めるのは御門違いも良いところ、ではあるけれども。思想の内容的な掘り下げよりも、アウグスティヌスが生きた時代に関する記述の方が充実しているような気もする。古代末期の歴史記述に出会うこと自体が稀なので、それはそれで有用ではあるのだが……。

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