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文化的消費活動の日記

オマル・ハイヤーム 『ルバイヤート』

ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1)

ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1)

 

ここ数年、寝る直前、ギリギリまで本を読む生活が続いているのだが、そういうときに読むのは大抵「面白すぎず、ともすれば、ちょっと退屈なもの」をセレクトする。そういう気持ちで、ずいぶん昔に古本屋で買い求めた『ルバイヤート』を読み始めたのだが、これはその寝るまえに読むものとしてベストな部類の本かもしれない。11世紀ペルシャの詩人が書いた四行詩を集めた本。

19世紀後半のイギリスにおいて、ラファエル前派の芸術家たちからも賞賛を受けたその内容とは徹底した現世主義であり、とてもイスラームの終末論とは相容れない。破戒的である。

いま生きている瞬間の儚さ、そして、その儚い瞬間を全力で楽しもうではないか、旨い酒があったらなんで飲まないんだ、良い女がいたらなぜアレしないんだ、でも、その楽しみは儚い、儚いからこそ、全力でやろうぜ、的なことが歌われている。変な言い方をすれば「あいだみつを」みたいな感じでもあるのだが、すごく良い。

これは翻訳の素晴らしさもある。解説のなかでアラビア語の詩のリズムと日本語をどう対応させたか、というテクニカルな説明もあるのだが、まずは、書いてある日本語を口に出して、できればヒップホップっぽく、適当に思い浮かんだ、ラッパーが発生するリズムで読み上げてほしい。私の場合、そこで思い浮かんだのは環ROYだったのだが、彼の気分で目に入ってきた文章を読んでたら、めちゃくちゃにハマって、最高に音楽的で、最高にカッコ良かった。

ルバイヤート、と言えば、甲州を使ったこのワインは美味しい。