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文化的消費活動の日記

蓮實重彦 『スポーツ批評宣言 あるいは運動の擁護』

 

スポーツ批評宣言あるいは運動の擁護

スポーツ批評宣言あるいは運動の擁護

 

蓮實先生が扱う映画や文学についてまるで疎い(にも関わらず、気になって読んでしまう)わたしにとって、これまでに読んだなかでももっとも親しみやすい著作であった。日本屈指の知性による特異なスポーツ批評。

基本的に言っていることは映画批評と同じである。日本のスポーツ・ジャーナリズムは、物語とか気持ちとかについて言及するだけで、ちっとも本質的なものであるはずの「運動」を語ろうとしない。球場の、フィールド上の運動をちゃんと見ろ、ということである。

2002年(日韓ワールドカップが開催されていたころだ)ごろのサッカーに関する文章や対談が中心となっており、言及されている選手には懐かしさしかないが(オリヴァー・カーン、マスクマン宮本、中田英寿ロナウドの髪型!)、それが逆にこの本の「読みどき」感を醸し出している。本も寝かせておくと中身が熟成するんだな、と思った。

https://www.instagram.com/p/BdrOIkshICw/

#nowreading 蓮實重彦 『スポーツ批評宣言 あるいは運動の擁護』映画をしらないわたしにとって「もっとも分かった蓮實先生の本」。2002年あたりのサッカー・野球についての話が中心の話なのだが、懐かしくもあり、今がちょうど読みどきになっている。熟成してます。