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文化的消費活動の日記

尹雄大 『やわらかな言葉と体のレッスン』

 

やわらかな言葉と体のレッスン

やわらかな言葉と体のレッスン

 

優れた哲学の本とは、読みながら、一緒に考えることができる本、そして読み終えたあとに、その本から「出発」できる本だと思う。本書は、そのような「哲学の本」のように読むことができるエッセイ。哲学という狭いカテゴリーに収まる本ではないし、体系的な知識を授けてくれるものではないけれど。正しさ(正義)が希求されすぎる(息苦しい)社会や、エヴィデンスが重要視される社会への違和感は、千葉雅也や東浩紀の最近の著作とも共有されているようにも思うのだが、難しい言葉や概念は一切用いられていない。日常的な言葉によって、言葉、知識からカラダの感覚へと脳のシステムを切り替えられるよう。