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文化的消費活動の日記

松浦弥太郎 『松浦弥太郎の仕事術』

 

松浦弥太郎の仕事術 (朝日文庫)

松浦弥太郎の仕事術 (朝日文庫)

 

松浦弥太郎が自分の仕事のスタイルについて記した本。徹底した自己管理、自分のペースを乱さない(無理をしない)こと、勉強を続けること、そして一緒に働く相手に対してのリスペクトを持ち続けること……といったことが書かれている。過去にほかの著者の本を読んで全力の普通さというキーワードが思い浮かんだことがある。本書も同様で、大いなる平凡さ偉大なる凡庸さ、のようなものが透徹されているようだ。

刺激的なところはなにもない。むしろ、過度な刺激を避けることに大いなる平凡さの哲学がある。それゆえに若いギラギラした人にはまったくおすすめできない本だ。そういう人が読んでも退屈なだけ。でも、ある程度年齢を重ねた人には、コレ、なんじゃないか。

本書を記したときの著者の年齢は40代なかば。「若いときには無理をしたこともあったけれど……」という振り返りがいくつも挿入されている。これに甚く共感させられた。わたしもいま34歳で、無理が効かなくなっている自覚があるし、「30代のプロフェッショナル」というつもりで生活している。これから急激に成長することに対しても諦めがついているし、子供もいるからなるべくリスクも負いたくない。

言うなれば、冒険から引退したあとのライフステージをどうするか、そのための指針が本書には詰まっている。それは緊張感がないダラけたものではない。ストイックに普通である、というある種の矛盾を抱えつつ、それで気持ちよく過ごせてしまうことを今のわたしは理解している。

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