sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

スーザン・ソンタグ 『ラディカルな意志のスタイルズ』

 

ソンタグの60年代の批評・紀行文などを収録した本。新訳。旧訳をチェックしているわけではないのだが、非常になめらかな日本語に訳されていて翻訳であることを忘れさせてくれるような読み心地。これを書いていたときのソンタグは30代前半、若手批評家の才気の鋭さは今なお感じられる。現代アート、演劇と映画、ゴダール。切り口が古びていない、というか、そういう見方ってあるだな、と新鮮な見方を教えてくれる、と感じるのはわたしが「批評」と縁遠い人間だからなのかもしれない(とくにゴダール論は、今のゴダールにもそのまま有効だ)。それからベトナム戦争中の北ベトナムハノイを旅した紀行文。これがアメリカの知識人が初めてベトナムという超異文化に接触した記録として大変に面白い。ベトナムを苦しめる国、アメリカの市民であることに責任を感じながら、しかし、ベトナムのカルチャーには全然馴染めないし、「全員同じ顔に見える……」と率直に書いてしまっている。