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文化的消費活動の日記

バールーフ・デ・スピノザ 『エチカ』

 

エチカ―倫理学 (上) (岩波文庫)

エチカ―倫理学 (上) (岩波文庫)

 
エチカ―倫理学 (下) (岩波文庫)

エチカ―倫理学 (下) (岩波文庫)

 

國分功一郎の「100分 de 名著テキスト」と一緒に買って積んであったスピノザの『エチカ』を読了。件のテキストは「わかりやすい!」という感想だけが残っていて、内容を全然覚えていないのだが、このテキストを経由していたおかげで読み通せた、という感じが強くある。定理と証明の繰り返しによって言いたいことを言っていく著述スタイル、「とっつきにくそうだな〜」と敬遠する理由のひとつでもあったこの書きぶりは、実際に読んでみたらそんなにとっつきにくいわけでもなく、むしろ、スピノザは証明部分を丁寧に書いている感じさえしている。

あと、國分功一郎は「下巻から読んだほうがわかりやすい」と言ってた気がするが、第1部の「神について」を読まないと全体的な世界観がつかめないので戸惑うように思った。とにかく、すべては神なんだ、と。わたしの甚だしく不安な哲学史の理解において、スピノザの時代の哲学界ではアリストテレス主義的な世界観・宇宙観が大メジャーであったハズである。その世相において、いや、神と自然ってわけられないよね、っていうか神以外に世界の法則というかルールというかを考える必要ってなくね? っていうスピノザがいかにヤバかったのか。イエズス会などは自然学を理解することによって、神へアプローチするんだ、というアプローチをとっていたわけだから、スピノザの言うことを真に受けてしまうと不可視的創造主に至るためのハシゴが外れちゃうよな、と。

第1部の最後のほうで「偶然っていうけど、世の中の起きることって全部理由があるよね(最終的にはその理由は神にたどり着くけど)。結局、理由がわかってないことを偶然って言ってるだけだよね。偶然って言ってる人って認識力が足りてないよね」みたいなことを言っている部分が個人的なツボで、あと一般的概念の形成や愛や情欲についての説明が面白いと思った。

まだまだ全然理解できている部分は多くないのだけれど、もう少しスピノザを読んでみたい、という気分になっている。読んでみたら予想よりも面白かったな。なぜ本書が『エチカ(倫理学)』なのか、っていうのもわかるし。「カラダ、鍛えたほうが良いよね、健康って大事だよね」みたいなこと言ってたりして。

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