sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

デジデリウス・エラスムス 『痴愚神礼讃』

 

ひさしぶりにルネサンス関連の本を読んだ気がするなあ。腐敗した教会批判を痛烈におこない宗教改革のきっかけを作ったエラスムスの代表作。ラテン語原典からの訳。訳者はエラスムスの専門家ではなかったのに、2004年に慶応大学出版会からでてる「本邦初のラテン語原典訳」のクオリティがヤバすぎたため、だれに頼まれたわけでもなく使命感をもって訳業にとりかかったという。エラい先生だ……。

人間界のすべてを支配しているという痴愚神が自分自身を讃える演説をする、という内容。愚かしさを司る女神がなぜ人間界のすべてを支配しているのか、といえば、人間のふるまいが全部愚かしいからであって、まず、やり玉にあがるのは男女の関係の愚かしさ。批判、風刺、であるとともにそこには人間らしさのようなものも描写されているのであって、これはルネサンス的だなぁ、と思った。神学者によるわけのわからん議論をdisってる箇所なんか(ラテン語の文法を知ってるとより)すごく笑えた。