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文化的消費活動の日記

三谷太一郎 『日本の近代とは何であったか: 問題史的考察』

 

日本の近代とは何であったか――問題史的考察 (岩波新書)

日本の近代とは何であったか――問題史的考察 (岩波新書)

 

「アジアのなかでの日本」を考えてみたくなり、そのテーマ設定の一環で手にとった一冊。政党政治、資本主義、植民地主義天皇制を問うべき問題に設定して日本の近代を振り返った本。日本政治外交史の偉い先生(刊行当時80歳を超えてる)が書いてあるのだが、これは正直「大先生の本」、と言わざるをえない。自分の好みの問題が多分にあるけれども「ですます」体の文章とどこに話を持っていくのかよくわからない論述スタイルが読みにくくて仕方ないし(全然頭に入ってこない。Amazonレビューの評価が異常に高いのはなぜだ……)、なんか日本の近代史がスッとわかりそうなタイトルなのに全然わかんなかった。

冒頭「そもそも近代ってなんなんすかね」ってことで、ウォルター・バジョットを参照しているのだが、ここもまとめ方がよくわかんない。バジョットは近代と前近代のメルクマールに「議論による統治」を置いているらしいのだが(前近代は慣習によって支配された世界とされる)「前近代にも議論による統治はあった(古代ギリシャとか)」とか蒸し返し(?)てて、どっちなんだよ! と混乱する。

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『新・韓国現代史』ぐらいスッとはいってくる近現代歴史の新書はないものか……。完全に今回は読む本を間違えた。初学者にはややこしいし、全然オススメできない。面白い部分もないことにはないんだけど……一言でいうとダルい!! エピローグ的な終章でも「原発事故は戦後日本の近代化の挫折であり……」みたいな雑な感想を述べていてより印象が悪くなった。