sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

2022年9月23日、あるいは富野

6時半ごろに起きる。激しい筋肉痛。朝食後にデッドリフトについてまた調べていた。デッドリフトを1セット10回やるたびに心拍数が爆上がりしてかなり苦しい状態になるのだが(3セットやると足先が震えてくる)、デッドリフトは回数を多くすると息が切れるので6〜8回が限界になるように重量設定をするのが良いらしい。次は75kgぐらいでやってみよう。

朝のうちに買い物。帰って先週の「鎌倉殿」。和田義盛が良いなぁ。

昼過ぎに義実家へお土産をもって伺う。Hの相手をしてもらっているあいだに読書。

青森県立美術館で買ったもの。サンライズは元々虫プロ出身者で設立されていたことを知る。手塚治虫ってすごい。ガンダム関連のパートでは富野由悠季自身によるモビルスーツのラフスケッチも載っていてエルメスビグザムゲルググジオングなどはラフで完成形に近い。富野由悠季の仕事において面白いのは、商業的な制約(おもちゃ会社をスポンサーにしたアニメ製作ビジネス)やプロデューサーという外部からの指示といった外部環境に従ってクリエーションをおこなっていることであって、それはジブリにおける宮崎駿高畑勲の仕事ぶりとは大きく異なる。言い方を変えれば、注文に応じる制作者なのであって、自発的な制作を行う近代的な芸術家の在り方とは異なる、ということになるだろう。芸術家よりも、建築家の仕事の仕方に近い気がする。

Amazonで5冊本を買うとポイント還元される、ってんでほしい物リストから購入。もうちょっと吟味して買えばよかった(しかも、Amazonギフト券で買ってたつもりが普通にクレジットでの購入になってた)。

夕方から天気のせいかひどい頭痛。前日午前2時まで通院した日の午後1時ぐらいツラい痛み。飲んでないのに。

 

2022年9月22日、あるいは本当の「シン・ウルトラマン」

7時ごろまで寝る。かなり秋らしい空気になっている。朝食後、Hが「ウルトラマンZ」をまた第1話から見出した。5周目ぐらいか。今見直すとかなり正確に「ウルトラマン」をなぞっていることに気づく。こっちのほうが「シン・ウルトラマン」って感じだ。

 
 
 
 
 
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ベランダのサボテンたちの台風の影響を確認。かなり鉢に水を浴びていたようで水分過多になっているものもあった。

旅行の行き帰りで乗ったタクシー内広告で伊藤英明(いまだにマジックマッシュルームの人、って思ってしまう)が逞ましい二の腕を見せつけて面白い感じになっていたのが、Hに強い印象を残したらしく「とおちゃんもあんな風にムキムキになったらどうする?」と何度も聞いてくる。

今日も休みだが朝から少し仕事。来週向けに段取りをつけてジムへ。自転車でもほとんど汗をかかない良い感じの気候。今日もデッドリフトは70kgで。10回目でちょうど果てる感じになる。

 
 
 
 
 
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いつものように鯖味噌を食べて帰る。途中でアンティークの店に寄って目の保養。

 
 
 
 
 
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帰宅後、シャマランの最新作をアマプラで観る。かなり良い。シャマラン流のギャグもかなり挟んできている。『ヴィジット』以降のシャマランの安定感はスゴイ。

sekibang.hatenadiary.com

読了。

夕方になって腹筋にかなりの筋肉痛がくる。なぜだ。背中にももちろん痛みはあるが、腹筋が痛むのは珍しい。

寝床で読みはじめる。

リチャード・ブローティガン 『アメリカの鱒釣り』

いろいろと雑多に本を読んでいると本のほうが自分を選んでくれてない、って感じの不幸な出会いも経験する。ブローティガンの作品は自分にとってその一例で、10年以上前に何冊か読んで「俺向きじゃないなぁ」と思った。本もだれかにあげてしまったのだと思う。過去の自分のブログを確認してみたら驚くべきことに『アメリカの鱒釣り』、『芝生の復讐』、『西瓜糖の日々』……と3冊も読んでいた。記憶はゼロだ。

最近台湾だったか中国だったかの日本文学研究者が、村上春樹の作品における藤本和子の翻訳の影響が……云々みたいな記事を目にして、またブローティガンに興味を持った。それで「今読んだら違うかも」と思いつつ『アメリカの鱒釣り』を再度購入してみたのだった。結果、やっぱり感性って簡単に変わんなくて、そんな面白く読めずにいたのだけれども、10年前よりもずっと〈読め〉はしているように思った。

消えゆく者、地面に這いつくばるようにして生活している者、負けちゃっている者、そういう者共が独特なユーモアで描き出されている、ように読めたし、この感じは(アルコール中毒者という主題で)ルシア・ベルリンにもつながっている、ようにも読める。

2022年9月21日、あるいは南へ

6時に起きる。疲れていたせいでぐっすり眠れた。しかし、連日の飲食ですっかり胃腸がおかしくなっている。この3日間、野菜をほとんど食べずにいた(そんなものは普段食べれば良い! という割り切り)のも大きく影響しているのかも。朝食はまたパワーブレクファスト、と行きたかったがあまり元気なし。

朝イチで青森県立美術館。企画展は皆川明 ミナ ペルホネン。まったく知らない人たちだったがそこそこ楽しく見る。コレクションは成田亨ウルトラマン・デザインが圧巻。あと棟方志功と民藝が併置されたところも良かった。とくにバーナード・リーチ濱田庄司の器が並んだところは、濱田庄司がイギリス工芸運動から学んだものをハッキリと際立たせる。青木淳の建物もかなり良かった。シンプルな白をベースに、テクスチュアを変えてくるようなデザイン。ミュージアムショップで富野由悠季の展覧会の図録が売ってたので買って帰る。嬉しい。Hにめちゃくちゃ高い成田亨の作品集をせがまれたので買う。

 
 
 
 
 
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昼は魚菜センターでのっけ丼。パワーのっけ丼。苦しくなる。

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さらに仙台のメロウ番長に教えてもらった古書店で猟書。かなりコアな良い本屋だった。ほぼ関心を失っているがイコノロジー関連の絶版本をゲット。青森にはカルチャーがある。福島にはない(新刊本屋も全然ないし)。開発の余白が街中にたくさんある感じなのも面白い。

時間が余ったので三内丸山遺跡を見て新青森へ。めちゃくちゃ辺鄙なところに駅があり不安になった。3日間での走行距離は200km。

帰りの新幹線のなかで読み進める。昔読んでるのにマジで記憶がゼロ。

夕食は東京駅で焼き鳥。そして新幹線で新横浜まで乗って帰る。東北新幹線と比べると東海道新幹線はやや神経症的に感じる、というか、ドライ。大型の荷物はスペースを予約しないと載せられない。

身体は疲れていたが眠さが来ない夜。

2022年9月20日、あるいはオシャレ

5時半頃起きる。ひどく断片的な眠り。強い雨が降っている。朝風呂に行く。予報では最低気温10度とでていて暑かった昨日との寒暖差に驚く。露天風呂は寒かったが、雨のなか入るのもなかなかの風情。朝食ビュッフェでたんぱく質取れそうなものを取るパワーブレクファスト。シズラーに集うトレイニーの発想になってしまう。

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マイナスイオン、って感じ。

チェックアウトまで時間があったので部屋で筋トレ、3種類のプッシュアップ。軽く汗ばんだのでまた温泉。露天風呂から見える渓流は雨で増水していて風情なし。

ホテルを出発して弘前へ。山の中を走る。途中、十和田湖を一望できるところがあった。

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弘前、市役所の近くに車を停める。市役所の建物がモダニズム全開。前川國男だった。

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年季が入りまくった食堂で中華そばとかつ丼。魚系の柔らかいスープで良い感じ。しかし、朝ごはんを食べすぎていたので苦しい。弘前の古い建物などを見て青森へ。

お土産などを見たのち、夕食。寿司かな、と思ったがどこも満席で、観光居酒屋みたいなところに。美味かったから良し。

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ホタテ釣りに興じるH。激ムズ。

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しかし、青森は都市によって全く訛りが違うのが謎。地理的に断絶がある感じでもなさそうなのに(昔は断絶してたのか?)。八戸、十和田、弘前、青森と来たが観光に力が入っていてどこもオシャレ。

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ホテルの付近でよく見かけた構造の建物。1階部分が車庫になっているが、集合住宅でこのように薄い壁で仕切られている建造物はあまり見た記憶がない。ものによってはこの車庫スペースの横に階段が設けられていて2階の住居スペースに行けそうな作りになっている。

 

2022年9月19日、あるいは北へ

4時半に起きる。筋トレ、腹筋。6時半に予約していたタクシーで家を出る。新幹線に乗って北を目指す。盛岡を初めて通過したが駅前にだれも人がおらず、大きな建物だけがポコポコと無表情に立っているようですごかった。

新幹線のなかで読む。後年のインタヴュー集よりもずっと語りに力がこもっていて、なにかを説明する気が感じられる。

八戸。八食センターに行って海鮮丼。周りから聞こえてくる言葉の訛りがすごい。中央からの遠さを感じる。

 
 
 
 
 
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ホタテの甘味がすごかったが、やはり三陸の養殖のものだという。たまたまホタテの養殖をやっている人から昔話を聞いたことがあるが、三陸沖は海流や海底の地形の関係でプランクトンが豊富でホタテの養殖場としてすごいらしい。たぶん日本のホタテで一番美味い。Hが激烈に食べたがっていた「さきたてのさきいか(マシンで延々と自動で割かれていた)」も半生的なやつで美味かった。

その後、十和田に移動して十和田現代美術館。感覚をイリュージョンしてくる作品が多く子供も楽しんでいた。

 
 
 
 
 
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十和田から奥入瀬へ移動してホテルへ。八戸から十和田も、十和田から奥入瀬も信号が少なく良いドライヴィングロード。借りた車がアクアで普段とは車体重量を感じる乗り心地だったが慣性が逆に良いかもと思いながら運転する。平坦な道が多く、こういう町で自転車暮らしをするのは良いだろうな、と坂道の多い町に住む身から思った。

ホテルのビュッフェで夕食を食べてHと温泉に入る。そこそこ熱めの源泉温度で良い。夜中眠れなくなってラウンジに出て本を読んだりして過ごした。

読了。

弘前と十和田も当たり前のように電子マネー/キャッシュレス対応をしていて良かった。

細野晴臣 『細野晴臣インタビュー THE ENDLESS TALKING』

 

編者・聞き手は北中正和。1991年から開始された細野晴臣へのロングインタヴューをまとめ、1992年に刊行されている。いまから30年前。細野晴臣もまだ40代の半ばで、語りにもなにかを説明しようとする熱のようなものが感じられる(その後に出ている鈴木惣一朗によるインタヴュー本と比べると)。しかし、今となってはよくこの時期に細野晴臣の話を聞いていたな、という感じのタイミングだ。ちょうどアンビエントやワールド・ミュージックの方向を模索しているころ、アルバムとしては『omni Sight Seeing』が最新作。日本経済はバブルが崩壊してゆく真っ最中、しかし、オウム以前・阪神大震災以前、音楽業界の景気的にはこれからさらに盛り上がっていく頃、だ。日本も、日本の音楽環境も、決定的に今とは違う時代の細野晴臣の声を捉えている。別に細野晴臣の言葉から時代の影響のようなものが大きく聞こえてくるわけではないのだが、経済的なものに取り込まれているポップ・ミュージックの人間である意識は強く感じられる。

面白かったのは「散開」前のYMOの活動も盛んだった同時期に、松田聖子などのアイドルにも楽曲を提供していた頃のエピソード。この頃の細野晴臣は曲ができていないのに、さもできている風な顔でスタジオに現れて、その場で追い込まれる状況をわざわざ設定し、アイドルへの楽曲を生み出していたのだという。