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文化的消費活動の日記

荒俣宏 『アラマタ珍奇館: ヴンダーカマーの快楽』

アラマタ珍奇館―ヴンダーカマーの快楽

アラマタ珍奇館―ヴンダーカマーの快楽

 

荒俣先生の収集対象って本だけじゃなかったのか……と驚愕した本。自身のコレクションから、自動人形やオルゴール、剥製、といったヨーロッパのビザールな物品だけでなく、明治時代の便器、そして「真打」的な稀覯本を紹介しつつ、過去の珍品コレクターのコレクションを「お手本」として見に行ったり、と大変楽しい本である。まぁ、ホントにこの人、なんでも好きなんだな……と半分呆れつつも、リスペクトしたくなる。しかも、この本にはすごいオチがついている。巻末のあとがきで本書で紹介されているコレクションがボヤで消失した、とか、突風で窓ガラスが割れたのと一緒に壊れちゃった、とかすごい告白がされているのである。期せずして、すでに失われてしまったヴンダーカマーを記録した、大変ロマンティックな一冊となっている。