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文化的消費活動の日記

若桑みどり 『フィレンツェ: 世界の都市の物語』

フィレンツェ (講談社学術文庫)

フィレンツェ (講談社学術文庫)

 

イタリアのルネサンスマニエリスム期絵画研究で著名な研究者によるフィレンツェ案内。フィレンツェという都市の成立から、フィレンツェ、といえばもちろん、メディチ家であり、その一族の隆盛から没落までを描きつつ、最後はメディチ家が収集した美術品を収蔵しているウフィツィ美術館で見ることのできる作品をネタにしながら西洋美術の鑑賞の仕方について、図像学・図像解釈学に迫る……というもの。正直、都市の歴史と政治の歴史についての記述はかなりマニアックなものだと思うのだが、政治史と美術史が深く絡み合って語られるものだからなかなか読み飛ばせない。ダ・ヴィンチミケランジェロラファエロ……といっただれもがその名前を知っている天才たちを庇護していたのは時の権力者、であったのだから、その語りも当然といえば当然か。新婚旅行でいったフィレンツェ、また行きたいな、って思ったりもする。