松浦弥太郎。クックパッドに入社したり、退社したり、『暮らしの手帖』の編集長だった、というプロフィールは、わたしの趣味・趣向とはほとんど重なってない。が、チェックしているインターネットの人の文章によくこの名前がでてきていて気になっていた。
で、インターネットで公開されている彼の文章に触れたときは正直「これはちょっとマイルドすぎるな、漂白されすぎちゃってないか?」と思って半ば「ケッ」っという感じだったのだ。だが、こないだ、一緒に仕事をしたことのある会社からきたメルマガでこの本が紹介されていたので「これは読まなきゃな」と思って注文した。
我がプリンシプルとして「3人以上から勧められたらとりあえず試してみる」というのがある。
で、「ケッ」っていう感じも少なからずあるんだけれど、これはとても良い本だと思っていて。金言満載だな、と。基本は当たり前のことを言ってんだけども。
センスをよくするにはどうするか、って「参考になるメンターになる人を探して真似して、学んでいくのが良いよね」(当たり前)。でもさ、だんだん年をとってくるとメンターも見つからなくなってくるじゃん。わたしもそうなんだけれど、常にメンターが欲しいと思っている、けれども、メンターが「かつてメンターだった人」になっちゃったり、追い越しちゃったり、ってことがあるわけだ。
そういうときにどうするんだ、って話がこの本には載っている。だから、これは「これからセンスを磨いていく若者」向けの本ではなくて、ある程度、なにかを培った人が自分を見直すための本であると思った。基本に立ち返って、人の話を聞いてみる、とかさ、当たり前のことが書いてあるけど、改めて「ああ、そうやって社会のなかで開かれていくと、学ぶことも増えていくよね」とか思う。
本やインターネットで調べるということは、最初から失敗をしない方法を選んでいることです。それは失敗から生まれる可能性も放棄していることになります。
もっと残念なのが、口コミやランキングで情報を得ようとすることです。こんなにたくさんの人が「いい」と言っているわけですから、大きく失敗することはありえないでしょう。でもそれが落とし穴です。「いい」という口コミで「当たり」を続けていると、自分で心から感動することができなくなってしまいます。それは発見ではなくて、確認という作業になってしまうのです。
上記引用は、わたしが選ぶ本書のベスト金言。
子供が生まれたこともあって、いろいろ自分のライフスタイルを見直しているんだけど、コレクションじゃなくてセレクション、とか「それ、今の俺に一番必要な言葉です!」とか痺れたりした。卑しいマインドでコレクションしてきたモノをセレクションに変えて、家のなかに息子のためのスペースを作っていく必要が俺にはあるんだ。