第1巻に引き続き。前巻が「伊丹十三レアトラック集」的な位置づけだったのに対して、こちらは伊丹十三の標準的な、普通の、面白いエッセイがまとめられている、と言っていいと思う、のだが、うーん……どう考えても「ベスト」ではないな、と。セレクテッドなものに対して「アレもコレも入っていない」と難癖をつけるのはとても無粋な行為だとはいえ。昔「実はディランってベスト盤しか聴いてないんですよね」という話をしたら「ベスト盤じゃディランは語れないよ!」と言われたことを思い出すような。
本書に収められている文章は、ほとんど文庫になっているし、この選集から伊丹十三を読み始めるよりも普通に以下の2冊から読むのが良いのかな、と思う。編者のひとりである建築家、中村好文の文章は結構面白いんだけど、これもマニア向け、というか。