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文化的消費活動の日記

松浦弥太郎 『考え方のコツ』

 

考え方のコツ (朝日文庫)

考え方のコツ (朝日文庫)

 

松浦弥太郎の仕事術』が「理念」編だとしたらこちらは「実践」編か。重複は多いが、ある意味で反社会的というか半時代的な仕事術が説かれた不思議な本で面白かった。ネットで調べるな、とか、知識なんか邪魔だ、とか、本当のアイデアとは自分のなかから生み出されてくるものだ、とか。システマティックに仕事をするのではなく、あえて生産のスピードを落としても個であること、オリジナルであることを重視する。そういうところはロマンティックである、と言えるかもしれない。仕事の多くが「俺じゃない誰かによってなされても全く問題ない」、「俺なんかいつでも誰かによって代替可能である」というのがリアルな世の中であるのだから。

自分が関係している仕事とは相容れない部分、参考にできない部分が多々あるのだが、それでも、長く持続的に仕事するために、生活を整えよう、といった教えには共感できる。そして、わかるけれども、なかなかできないこともいくつも書かれている。たとえば育成において「人の良い面だけを見てあげる(欠点に目をつぶって、良いところを伸ばしてあげれば、欠点は隠れる)」とか。これに対して「仕事なんだから指摘はすべきだし、衝突も必要ならあるべきだ」という考え方もある。先日読んだ斉須政雄はこちらの立場だろう。一体どっちが良いんだろね。少なくとも「欠点に目をつぶりつづける」だけのおおらかさをまだ自分はもてないでいる。

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