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文化的消費活動の日記

2020年に良かった曲を振り返る(前半)

あけましておめでとうございます。2020年はnoteで1年間日記をやっていましたが、2021年ははてなブログに回帰していきます。というわけで、第一弾。2020年に良かった曲を振り返っていきます。長くなるので前半・後半でわけて。前半は41曲。家にこもってたのでよく音楽を聴いていたのだと思う。

 BTS / Black Swan

2020年大きな記録を作ったBTS。全編英語詞の「Dynamite」よりもずっと衝撃的だったのがこのトラック。え、ラジオで聴いてBTSってこんなにカッコ良いのか……と驚いた。

Black Swan

Black Swan

  • 発売日: 2020/01/17
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 Dua Lipa / Breack My Heart

これはあらがえない感じのディスコ・サウンド(2020年はカイリー・ミノーグの新譜もでていた)。

フューチャー・ノスタルジア(ボーナス・エディション)
 

 Chara + YUKI / 楽しい蹴伸び

これもラジオで聴いた気がする(2020年はクリス・ペプラーJ-Waveでやっているカウントダウン番組をよく聴いていたのだった)。どう考えてもTENDREでしょ、というオシャレサウンドJ-Waveによくあう。

echo (通常盤) (特典なし)

echo (通常盤) (特典なし)

  • アーティスト:Chara+YUKI
  • 発売日: 2020/02/14
  • メディア: CD
 

 Young Franco & Pell / Juice

ヤング・フランコはオーストラリアの若手音楽プロデューサー。イケてる。他の曲も良かったなぁ。

Juice

Juice

  • 発売日: 2020/02/28
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 Ne-Yo & ジェレマイ / U 2 Luv

松尾潔のラジオ番組で聴いてからしばらくずーっと聴いていた曲。Rogerトリビュートな楽曲。そしてメロウの極地。

U 2 Luv [Explicit]

U 2 Luv [Explicit]

  • 発売日: 2020/05/29
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 マック・ミラー / Circles

 2018年に急逝したラッパー、マック・ミラーの遺作。涅槃をおもわせるPVも良かったが、アルバム全体として内省的、かつ、プライベートのしんどさを全面に押し出した内容で、ヒップホップの世界とSSWの世界が接近した名盤だった。

Circles

Circles

  • 発売日: 2020/01/17
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 SIRUP / Need You Bad

これもミスターJ-Wave的なサウンドといえよう。正直、SIRUPとShin Sakiuraの領域がかぶりすぎている気がする。モダンR&BのJ-Pop化。

CIY(CD)

CIY(CD)

  • アーティスト:SIRUP
  • 発売日: 2020/03/25
  • メディア: CD
 

 H.E.R. / I Can't Breathe

2020年大きく話題になったBLM運動。なかでもいち早く音楽界からリアクションしていたのはH.E.R.。まだ20代前半の彼女がこういうアクションをしていることにR&Bの懐の深さ、そしてリアリティを感じ、激しく感動をした。社会と音楽との強い結びつきがとてもうらやましく思う。

I Can't Breathe

I Can't Breathe

  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 The Weekend / Blinding Lights

これも町中やラジオでよく聴いたなぁ。2020年に最も影響力をもったリズムパターンだったと思う(言わずもがな、A-haが下敷きになっているわけだが)。正直アルバムはイマイチ乗り切れなかったのだこの曲は別。あとThe Weekendはサブリナ・クラウディオとのデュエット曲をホリデー・シーズンにリリースしておりその歌唱がMJリスペクト的な色が濃くてよかった。

After Hours

After Hours

  • アーティスト:The Weeknd
  • 発売日: 2020/03/20
  • メディア: CD
 

 コモン / My Fancy Free Future Love

 コモンの2019年作『Let Love』(ソウルとヒップ・ホップが大接近した名盤!)からのRemix。トム・ミッシュ。

My Fancy Free Future Love (Tom Misch Remix) [Explicit]

My Fancy Free Future Love (Tom Misch Remix) [Explicit]

  • 発売日: 2020/01/10
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 LEENALCHI / Tigher is Coming

 2020年は音楽雑誌『ラティーナ』の休刊という悲しいニュースがあったので、それを期にバックナンバーを買って旧譜を漁る、という物好きな行為も進めていたのだった。そこで出会ったのがこのLEENALCHIという韓国のバンド。2020年1番の衝撃だったかもしれない。韓国伝統音楽のヴォーカル4人にツイン・ベース(!)とドラム、という編成も驚き。ほとんどネットでも言及されている様子がないのだが、いまの韓国音楽シーンの熱さはK-Popだけじゃなくてインディーズもアツいことを証明するようだ。

Tiger

Tiger

  • 発売日: 2020/02/21
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 Madison McFerrin / TRY

このファミリー・ネームにピンと来た人はひょっとして、と思うのだろうが、そう、テイラー・マクファーリンの妹にして、ボビー・マクファーリンの娘。正直兄貴よりもいいんじゃないか、宮里藍的な現象か、っていう感じでいい曲。

You+I

You+I

 

 Giveon / THE BEACH

 ドレイクにフックアップされて有名になったシンガー。なんというかジャケットの絶妙に金がかかっていない感じがするが、この曲の、夜のビーチ感(タイトルそのままだけど)、熱帯夜感が素晴らしくて。

TAKE TIME [Explicit]

TAKE TIME [Explicit]

  • 発売日: 2020/03/27
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 Thundercat / Dragonball Durag

上半期のベスト・アルバムはこれだったかなぁ。犯罪的に気持ち悪いPVも最高だったし、NHKの朝のこども番組にいきなり登場してベースを弾きまくっていたのも衝撃だった。マック・ミラーの死をきっかけに、ブラジリアン柔術をはじめてクリーンになり、40kgも減量した、と(これまたクリス・ペプラーのラジオ)で聞いたけども、ヴィジュアル的な強烈さは増し、そして音楽的にも良くなっているのがすごい。来日時は渋谷のポケモンセンターに直行したらしい。

 Tréi Stella / It's Yours

 メロウ……としか言いようがない世界。声は宇多田ヒカルかと思って心にひっかかった。

Goodbye (Tréi July)

Goodbye (Tréi July)

  • 発売日: 2020/02/28
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 あっこゴリラ / ミラクルミー

「あっこゴリラ」って初めて聴いたときは「なんだそりゃ」と思ったが、ほんのりとした憂いを感じるリリックが良いなあ……となった。これもラジオでShazamした。

ミラクルミー E.P. (通常盤) (特典なし)

ミラクルミー E.P. (通常盤) (特典なし)

 

 キエナ・レデ / Forfeit.

この人もH.E.R.と同い年。過去に別な名前でデビューしていて(なんかテレビのオーディション番組で有名になった、とか松尾潔がラジオで言っていたような気がする)その再デビュー的なアルバム。めちゃくちゃ客演でも名前を見たなあ。「おお、この女性ヴォーカルいいじゃん、だれ」って思って確認すると「feat. Kiana Ledé」って書いてあって。mstk的新人賞は彼女かも。

Kiki

Kiki

  • アーティスト:Kiana Lede
  • 発売日: 2020/04/03
  • メディア: CD
 

 chelmico / Terminal 着、即 Dance

 これもめちゃくちゃラジオでかかってたなぁ。

Terminal 着、即 Dance

Terminal 着、即 Dance

  • 発売日: 2020/03/27
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 Marcos Valle / Pelo Sim, Pelo Não

 マルコス・ヴァリは2020年も大変生産性が高く最高のアルバムをリリースしていた。

シンゼント

シンゼント

 

 Tom Misch & Yussef Dayes / I Did It For You

 トム・ミッシュは新作も洒落ててよかったなあ。ただシャレオツなだけじゃなくグッと成熟した感じがあった。

What Kinda Music

What Kinda Music

 

 Starchild & The New Romantic / Hand To Hand

 Twitterで教えてもらって衝撃を受けた人。めちゃくちゃプリンスじゃん……!(声はぜんぜん違うんだが)っていうそれだけなのだが、涙なしには聴けない楽曲。

Forever [Explicit]

Forever [Explicit]

  • 発売日: 2020/06/19
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 ジョルジャ・スミス / Rose Rouge

 現代のR&B/クラブ・ジャズ系のミュージシャンがブルー・ノートを再解釈したアルバムからの先行シングル。最初、この企画本体のことを知らなくて「おー、ジョルジャ・スミス、こっちの方向に進んだのか」と驚いた。これ、B面のFootprints(Ezra CollectiveというUKのジャズ・グループ)も最高です。7インチでてたのは書いているときに知ったので今買った。

Rose Rouge/ Footprints [Analog]

Rose Rouge/ Footprints [Analog]

 

 Shin Sakiura / ほんとは feet. Kan Sano

↑のほうでSIRUPとShin Sakiuraの領域が、と言ってたがこの曲に客演しているKan Sanoもそうだな……。トム・ミッシュ的なちょっとディレイがっかったギター・フレーズが気持ちいい。 

NOTE

NOTE

  • アーティスト:Shin Sakiura
  • 発売日: 2020/05/13
  • メディア: CD
 

 metome, uratomoe, speedometer. / Rumors about paradisaedae

 これは『ラティーナ』の新譜紹介知ったのかなぁ。3人の日本人ミュージシャンによるタイトルどおり「ダーク、かつ、トロピカル」な音楽集。VIDEOTAPEMUSICのあの感じがツボな人にはぶっ刺さる空気感。

DARK,TROPICAL.

DARK,TROPICAL.

 

 東京事変 / 選ばれざる国民

 椎名林檎の活動って最初のソロ活動休止以降ちゃんと追ってないんだけども、これはラジオで聴いて「プログレか!」と思って衝撃的だった。あとわたし、長岡亮介の声とTENDREの声の区別がついていない気がする。

選ばれざる国民

選ばれざる国民

  • 発売日: 2020/04/08
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 Real Estate / You

 相変わらずのキラキラギタポサウンドなのだが、ちょっとBuffalo Springfield的なハーモニーも聴くことができる一段落着いたアルバムだったと思う。

 平賀さち枝とホームカミングス / かがやき

 これも相変わらずのキラキラで……ホント、平賀さち枝の書く歌詞、声って好き……。

かがやき/New Song

かがやき/New Song

  • 発売日: 2020/01/31
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 寺尾紗穂 / 北へ向かう

『ラティーナ』のインタビューで初めて知った歌手。およそ現代ポップスでは聴くことのできない澄んだ発声(湯川潮音のことを思い出す)でめちゃくちゃ良かった。

北へ向かう

北へ向かう

  • アーティスト:寺尾紗穂
  • 発売日: 2020/03/04
  • メディア: CD
 

 mei ehara / 昼間から夜

 カクバリズムというレーベルはこういう琴線に触れる音を出してくれていて、それにまんまとハマッちゃうのが悔しいというかなんというか。ギターはトリプルファイヤーの人。

Ampersands

Ampersands

  • アーティスト:mei ehara
  • 発売日: 2020/05/13
  • メディア: CD
 

 TOPS / Direct Sunlight

 これもスゴいアルバムだったなあ……80年代の女性アイドル歌手が現代に蘇ったような可愛らしくも強烈な作品。

I Feel Alive [Analog]

I Feel Alive [Analog]

  • アーティスト:Tops
  • 発売日: 2020/04/03
  • メディア: LP Record
 

 フィビー・ブリジャーズ / Kyoto

 相変わらず私生活丸出しな感じの歌詞が危うい感じだが、今回音楽的な内容もグッとスケールを増しているようで良かったなあ。ちょっとピーター・ガブリエルかよ、っていうような曲があったもんなあ。

Punisher

Punisher

 

 Khruangbin &Leon Bridges / Texas Sun

 Khruangbinはアルバムも出していたが、楽曲単位でいうとレオン・ブリッジスとのコラボレーション作が良かった。中でも表題作の「Texas Sun」。Wilcoのようなオルタナ・カントリーサウンドにオーセンティックなソウル的歌唱が乗っかるマジック!

Texas Sun -Mlp- [Analog]

Texas Sun -Mlp- [Analog]

 

 Kaede / それもきっとしあわせ

 キリンジが2007年に鈴木亜美に提供した大名曲を見事に掘り出したという感じのパフォーマンス。うまくはないのだが、伝わってくる歌の温度。すごい。ご結婚おめでとうございます! 

今の私は変わり続けてあの頃の私でいられてる。

今の私は変わり続けてあの頃の私でいられてる。

  • アーティスト:Kaede (Negicco)
  • 発売日: 2019/12/25
  • メディア: CD
 

 堀込泰行 / 強く優しく + TENDRE

2020年の良かった曲リスト2曲目のTENDRE仕事。これはTENDRE感そんなに強くなくてよく堀込泰行の作風に馴染んでいる感じ。

GOOD VIBRATIONS 2

GOOD VIBRATIONS 2

  • アーティスト:堀込泰行
  • 発売日: 2020/05/13
  • メディア: CD
 

 Vardan Ovsepian & Tatiana Parra / Retrato Em Branco E Preto

 アルメニア出身のピアニスト、ヴァルダン・オヴセピアンと、ブラジルの歌手、タチアーナ・パーハによるデュオ(この組み合わせで過去に2枚のアルバムを出している)によるジョビンの名曲。とにかく伴奏の自由度がすごい。ジョビンの楽曲の枠組みから逸脱するギリギリのところで運動しているような。

Triptych

Triptych

  • 発売日: 2020/02/29
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 ンドゥドゥーゾ・マカティニ / Yehlisan'uMoya

 南アフリカのピアニストのリーダー作より。前編コルトレーンファラオ・サンダース直系のスピリチュアル・モード・ジャズって感じなのだが、ジャズが先祖返りしたような濃厚さがある。

Modes Of Communication: Letters From The Underworlds

Modes Of Communication: Letters From The Underworlds

  • 発売日: 2020/04/03
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 児玉マリ / ベートーヴェン: 弦楽四重奏曲第13番 第5楽章(ピアノ編曲版)

 クラシックも聴いていないわけではなかったが、バチーンと印象に残るものは少なかったかな。レコードで昔の録音を聴いたり、あとはマーラーブルックナー交響曲のピアノ編曲版を聴き漁る、とかそういうのばかりやっていた。そんななか児玉マリのベートーヴェン弦楽四重奏曲をピアノ編曲したアルバム、これはかなり良かった。ベートーヴェンの音楽の新たなあり方を垣間見るようで、純な、素朴な美しさが際立つのは、おそらく弦楽のように持続する音ではなく、ピアノが減衰していく音だからな気がする。クラシックで言うと、エベーヌ弦楽四重奏団ベートーヴェン弦楽四重奏曲全集が出たのが良かったな。あとムター、ヨーヨー・マバレンボイムベートーヴェンの三重協奏曲など。

Kaleidoscope

Kaleidoscope

  • 発売日: 2020/04/17
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 サム・ウィルクス / Today

 LA出身のベーシスト、サム・ウィルクスの2018年作『Wilkes』は大変な名盤であったが、このアルバムはその延長にあるライヴ盤。アンビエントとジャズが見事に一体化した今様ジャズのひとつの形といっていいだろうし、21世紀のウェストコーストジャズ、ということなのかもしれない。関連作品としてはサム・ゲンデルの『Satin Doll』も良かったなあ。こちらもジャズのクラシックをアンビエント風に、溶けるように演奏していてサイバーパンク的な風合いさえある。

Live on The Green Special Edition

Live on The Green Special Edition

  • アーティスト:SAM WILKES
  • 発売日: 2020/01/22
  • メディア: CD
 

 Vladislav Delay / Raajat

 ヴラディスラフ・ディレイのソロ作。スラロビとのコラボレーション第2弾もハーシュかつハードなダブアルバムという感じで衝撃的だったが、このアルバムを貫くミニマリズムの極北ともいうべき音世界もすごかった。

Raajat

Raajat

  • 発売日: 2020/01/16
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 Manhu / Banquet Dance

 中国少数民族サニ族のバンドの音源。これも衝撃だったなあ……。伝統楽器 + ベースとドラムというモダナイズされたフォーマットなのだが、コーラスや発声に聴いたことがない響きがある。

Manhu: Voices of the Sani

Manhu: Voices of the Sani

  • 発売日: 2020/01/31
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 Pongo / Uwa

 アンゴラ出身でポルトガルで活動している歌手。ミッドテンポのR&Bを聴いているとこのBPMの速さに驚く。アフリカンEDMって感じですさまじいのだった。

UWA

UWA

  • 発売日: 2020/02/07
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

……というわけで前半戦は以上。