料理研究家の土井善晴と政治学者の中島岳志のオンライン対談をもとにした本。土井の過去の著作で展開されてきた話を、中島が仏教や哲学、政治学の言葉に寄せて解釈していくような内容……なのだが、元々平易な日常的な言葉で綴られてきた言葉を、テクニカルな言葉に寄せていくことに関する意義はなんだろうか、とも思う。ネガティヴな感想になってしまうが、その繋ぎは開いていない。土井善晴の言葉をさらに開かせる対談相手を選ぶなら坂口恭平が相応しい気がした。
語られていることは、自分の生活を考え直すうえでのヒントになることが改めて多く、ごく普通の作為のない生活のなかに美しさや価値を見出してこうという態度(それが民藝なのだ、という)は「そういうことだよな!」となった。生活そのものがマインドフルネス化していく感じというか。
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