sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

斎藤幸平 『カール・マルクス 『資本論』』(100分 de 名著テキスト)

 

 NHKの番組「100分de名著」のテキスト。NHKテキストの語学コンテンツのコスパの良さは有名だが、これも相当にコスパがいいなあ(以前にスピノザのものを読んだぐらいだが*1)。番組の方もNHKプラスで全部観たけれど、言うまでもなくテキストのほうが段違いに情報密度が高い。

第1回~第3回までの内容は、われわれに身近な事例をひきながらマルクスによる資本主義批判のエッセンスを紐解いていく内容、第4回(最終回)でマルクスが考えた新しい社会像を紹介している。「〈コモン〉の再生」を謳うこの新しい社会像については「共産主義社会」という言葉で喚起される私有財産の否定や一党独裁といったイメージを打ち消す内容となっている。

筆者が提案している「脱成長」型経済という社会像には、あまり賛同できないが、収奪されてきた権力を一般市民の側に取り戻していき、既存権力に透明性を求めていくという動きとアソシエーションの動きが接続されて読まれていくと良いな、と思う。

関連エントリー

note.com