sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

山本浩貴 『現代美術史: 欧米、日本、トランスナショナル』

戦後の欧米、日本、さらには国境をまたぐ領域における社会に働きかける芸術の歴史をコンパクトにまとめている……のだが、このコンテンツで「現代美術史」っていうタイトルはどうなんだろう? 美術館やギャラリーを飛び出して、社会に関わろうとする芸術自体を否定するわけではないけれど、美術館やギャラリーを飛び出さなかった芸術もまた現代美術なわけで、さらに現代美術の蚊帳の外にいる人間からすると、アートとマーケットの話なんかこそ「現代美術の謎(興味ある話)」だと思われるのだがそこは本書で扱われていない。勉強になるし、難しいことが書いてない、現代美術(の一部)ではなにがおこなわれているのかを知るには良い本だと思う。とくに日本や、日本における在日コリアンに関する記述が良かったし、もう少し掘ってみたい、っていう風に思う。