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文化的消費活動の日記

東浩紀 『一般意志2.0: ルソー、フロイト、グーグル』

ルソーの一般意志を現代のインターネット環境(というよりも、本書のなかではその言葉は使われていないが、IoT社会、本書のなかでは≒ユビキタス環境)のなかで読み直した2011年の著作。社会の構成員のコミュニケーションによらず同意が得られ、しかし誤ることなく意思されるもの、その一般意志による意思決定を人々の言語を使ったコミュニケーションではなく行動データを読み解くこと(それを無意識へのアクセスと位置づける)で抽出されるある種の解として解釈するところは面白いのだが、『ゆるく考える』を読んだときと同じ香ばしさを感じる本でもある。とくに第三部でニコニコ生放送がでてくるあたり。今となっては、本書で論じられた一般意思2.0とは、新たな政治形態や社会的な紐帯を予期するものではなく、圧倒的にディストピア的なものに結び付けられよう。

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