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文化的消費活動の日記

2022年6月6日、あるいは若さへの羨望

4時半ごろ起きる。ディザスター・ムーヴィーのような夢。日本中の活火山が噴火し、噴石が頭を直撃した。

筋トレ、肩、腹筋、下半身。

Nightly News(6月4日分)。マイアミでの洪水がトップ・ニュース。パーティー帰りかなんなのかゴージャスな雰囲気の女性が川になった道路で車を押したりしている映像がでていた。車の供給不足のなかで車が廃車になったらどうするんだろう、と思う。粉ミルク問題では国内の主要工場での製造が再開している。アメリカでは抗がん剤治療を受ける人の家族や同僚が一緒に坊主にする、というのが流行ってきているらしい。

ダルいな……と思いながら英単語の勉強。これもやり方をマイナー・アップデートを重ねながら続けているが、音源を短く切りながら音読を繰り返す、というのと、復習を多めにした結果、記憶の定着が格段に良くなった気がする。

昨日観たロメールの余韻が残っている。アラフォーと呼ばれる年代になり、ロメールが『友達の恋人』で描いたような可愛らしい物語を受容することにおいて、そこには若さへの羨望のようなものが混じっていることに気づく。あるいは、馬鹿馬鹿しさ、愚かしさに対する憐憫のようなもの(もちろん、ここでの憐憫はルソー的なものを想定している)。それはラスト・シーンにおける噛み合わない会話でもっとも高まる。登場人物たちがとても愛しくなる。1962年生まれのエマニュエル・ショーレは、ブランシュ(24歳という設定)をほぼ同年齢で演じている。成熟した大人、ではなく、むしろ少女じみた肉体が、原色のキャミソールや水着をまとってキャメラの前に立つ。(ロメールの映画全般に言えるが)乳首が布の表面に浮きだっている。若さ、ってこういう感じ! すごく眩しい。

古くなったTシャツを最近よく捨てているので綿100%のなんでもないTシャツが欲しくなって注文してみる。グンゼ。綿製品は気軽に使い捨てられる価格帯のものがやっぱり良いなぁ、という気持ちになってきた。プレミアムなコットンの魅力もわかるのだが何度も着てるとどうしても汗をかいたときに臭くなるし……(酸素系の漂白剤で〜、みたいなのをいろいろ試しても落ちないものは落ちない)。

雨具を着て散歩にでかけるのも断念したくなる天気。蟄居。

藤倉大のピアノ協奏曲を聴いてみる。第3番、ということはすでにもう2曲もピアノ協奏曲を書いているわけで、現代の作曲家では本当に売れっ子なんだろう。現代の作曲家なのにクラシックの作曲家みたいである。録音を通して触れることができる現代音楽のテクスチュアにはすっかり関心がなくなってしまったなぁ、とも思うのだが、物語的な起伏もあるし、「映える」感じの楽曲であると思った。ECM的なものほどポップではないが、ポルタメントフラジオレットを多用した弦の響きは美しい。ただ、それこそがまさに「耳に優しい現代音楽ってこういう感じだよね」と思う主要因なわけだけれど。だから非常にオーケストラの楽曲での「新しさ」って難しいよね、と思うし、音色/テクスチュアの面においては出尽くしちゃっている/限定的な世界だよなぁ、とも思う。音色が音楽の面的な構成だとしたら(楽譜で言えば縦の瞬間)、リズムやテンポは線的な構成として考えられる(楽譜でいえば横の流れ)けれど、この楽曲では、ポリリズムやポリテンポのときにわずかに斬新さとかを感じなくもない。でも、そういうのももっと色々聴いていくと、ああ、そういう感じね、ってなっちゃうんだろうな。
正直、やっぱり、一緒に収録されているラヴェルの協奏曲のほうがずっと楽しく聴けてしまう。それがひょっとすると探究的には怠惰なものかもしれないが。いや、でも、ラヴェルはすごいなぁ! 第1楽章の終盤のピアノで、低音部を打楽器的に鳴らすところなんかすごいアイデアだと思うし、そのリズムをオーケストラが受けるのもすごい。それは現代音楽と比べたらはるかに単純な仕掛けかもしれないが、アイデアのすごさは仕掛けの複雑さと関係がない気もする(一方で、単にラヴェルは「わかる」からすごい! と思うだけ、ということもできる)。

Stone Stone Stone Mini Album

Stone Stone Stone Mini Album

  • Little Stone Records
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大友良英大友良英スペシャルビッグバンドの新譜も聴く。この名義の作品は全然聴いていなかったのだがとにかく明快で楽しい音楽だ。とくに3曲目で聴かれるバンジョーの響き。大友良英の音楽でここまで陽性の、しかし、物悲しさも含むものを他に知らない。

UAの新譜も良かった。