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文化的消費活動の日記

富野由悠季 『富野に訊け!!』

自分より10歳以上若い人に薦めたい人生指南の書のリストを作るなら(伊丹十三の本をまず挙げたいのだが)富野由悠季が人生相談の回答者になっているものをまとめた本書も新たに加えたい。クリエイターを目指す人の感性の磨き方だけではなく、ひとりのまっとうな社会人になるために自分を鍛え方法論が、その独特な辛口、というかドライな口調で披露されている。痛快だし、ひとつひとつが真っ当で素晴らしい。仕事上の指導内容として本書に書かれた内容の一部をさも自分の意見のように借用させていただいた。

一方でこの真っ当さがなにに起因するかと言えば、その神経症的な性格からくるものなのだろう、と思いもするのだった。あまりにも神経症的な《法》の支配、規律への強迫的とも言える従属が見受けられるし、本書では触れられていないけれど、富野御大の近年のインタヴューであからさまに語られる宮崎駿高畑勲に対するコンプレックスが、まさに《他者の欲望》! って感じであることと繋がっても読める。