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文化的消費活動の日記

小林泰彦 『ヘビーデューティーの本』

『アーバン・アウトドア・ライフ』は80年代だが、こちらは70年代。70年代になってアメリカで盛り上がったというアウトドア志向のムーヴメントにおけるファッションをアイビー・ファッションと組み合わせながらそのスタイルやアイテムのディテールを紹介している。GORE-TEXがこの頃、すでに新しい素材としてでていることなど「え、そんな昔からある素材なんだ」と意外に思ったし、ダウンジャケットに入っている羽毛に関する蘊蓄を読むと「こだわるポイントって今も昔も変わらないんだな」と感心する。『アーバン・アウトドア・ライフ』が自然を愛でる精神を語るものだとしたら、こちらは徹底してモノに関する本という違いがあれど、どちらもL. L. Beanがやたらと持ち上げられていることに隔世の感がある。本書ではNikeもまだ新興のシューズ・メーカーに過ぎないし、The North Faceの名前はでてくるが、Patagoniaはでてこない、みたいな面白いポイントがいくつもある。ストリート・ファッション以前の資料的なものとして読むと面白いのかも。現代における「L. L. Bean安The North Face高」みたいな状況もストリートへの対応有無として読み解けそうだ(L. L. Beanや日本でいうとmont-bellはストリート未対応、The North Faceは対応、Patagoniaは対応してないけどストリートの側からも受容されている、という絶妙な位置関係が見いだせるような気がしてくる)。