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文化的消費活動の日記

劉慈欣 『三体』

もはや旬はとっくに過ぎた感じはあるが、かつて話題を読んだ中国のSF小説を読み終える。「三体」三部作の1作目にあたるもの。物語上の設定を滔々と説明するようなところがSF小説に対する個人的な苦手意識を形成する要因のひとつであって、本作も三体問題(これは現実に存在するものだけども)だとかあれこれのギミックについて長々と説明が入るところがかったるくて「苦手……」と思いながら読んだ。評判通りスケールは宇宙規模で大きいのだが「あれなんだったの?」っていう部分を最後マジで全部「説明」しちゃってる。「シン・エヴァンゲリオン」の碇ゲンドウぐらい丁寧に説明してくれてるので、丁寧な分、気持ちの冷めも大きい。SFってジャンルだとこんなに説明的でも大丈夫なのか?

文化大革命の時代から語られる本作ははじめこそ重厚かつシリアスな空気をまとい、途中ででてくる「物理法則が存在しない世界」という疑義に関してはデヴィッド・ヒュームやカンタン・メイヤスーのような思想家を彷彿とさせもする……のだが、終盤はかなり大味なハリウッド映画のような展開となっていく。クリストファー・ノーランはじまりのマイケル・ベイ終わり……みたいないびつさだと思う。三部作の2作目も電子書籍で買ってあるのだが、これは手を付けるのに躊躇するな……。