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文化的消費活動の日記

坂本龍一 『音楽は自由にする』

『音楽の歴史』は期待はずれだったが2009年刊行の『音楽は自由にする』のほうは面白い。鈴木正文を相手にした本人の語りによる自叙伝。ずっとこのタイトルについて「『音楽は自由にする』ってどういうことなんだろうな」と思っていたが、よく表紙を見てたら「労働は自由にする」のもじりだったのだな……と気づく。Arbeit macht freiに対してMusik macht frei。それがわかっても内容とタイトルの関連性はよくわからないままなのだが。無論、語り手の坂本龍一は音楽によって収入を得て生活をしていた音楽家なわけだが、タイトルからすなわち連想されるような「音楽によって(なんでも好きにできるような)自由を得る」みたいな人生ではなく(そもそも文化的にはかなり恵まれた環境にいた人ではある)、偶然の成り行きで音楽家になってしまった人、って感じである。

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