sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

菊地成孔 『菊地成孔の欧米休憩タイム』

菊地成孔、2冊目の映画本。2022年に刊行されたものだが、収録されている文章は2015年以降のもの……と今読むには中途半端な時間が経っている。とはいえ、韓国映画が多く取り扱われ、邦画との産業構造的な対比は今読んでも面白く、Web連載をリアルタイムで読んでいたときの記憶もまた思い出される。『半地下』が令和元年の出来事だったこと(今Wikipediaで確認した)を鑑みれば、平成末期の日韓映画のドキュメントのようでもある。ちょうどK-Popが世界を席巻する直前でもある。読みながらAmazon プライム・ビデオに死ぬほど溜まっている「観たい映画のリスト」が増えるばかり。もっとも取り上げられている邦画のほうは、問題作、的なもの、というか、自分には食指が動かないものばかりだったのだが、濱口竜介の『ハッピーアワー』に関する文章、「「シネフィルである事」が、またOKになりつつある」というそのタイトルからして、読むべきものがあると思った。著者の近年の作品には「さすがにこれは……」というものも多く感じていたのだが、本書は普通に良かったです。