『自傷行為の理解と援助』に引き続き。こちらは松本俊彦が編者となって、依存症だけでなく犯罪被害者や治療に積極的になれない患者に対してどのようなアプローチをすべきなのかの知見が寄せられている。巻末には、編者の松本・熊谷晋一郎・岩室紳也による座談会記事が収録されており、これもパンチラインが満載。
依存症とは「依存できない病」と言ってもよいところがあります。誰にも頼れないから、モノに依存するわけです。
松本 俊彦. 「助けて」が言えない---SOSを出さない人に支援者は何ができるか (p.256). 日本評論社. Kindle 版.
それゆえに依存症に対しては、モノ以外の依存先を作ること、身体に悪影響を与えない別な依存先にソフトランディングさせることが有効なアプローチだと語られる。そして、そうした変化を当事者に求めるのではなく、支援者のアクションによって、漸進的に移行させていく、そのような関係性の作り方が望ましいとされている。早急で、特効的なものを求めないこと。ぬるま湯のなかでゆっくりほぐしていく、そしていつしか当事者の硬い境界がそのぬるま湯に溶け出していく、そうしたイメージをもった。