Twitter、Facebookでは告知してましたが、ブログで告知するのを忘れてたので再度お知らせします。工作舎のサイトで公開されているブックガイドシリーズに山田俊弘さんの『ジオ・コスモスの変容』に関する記事を寄稿しました。これまでペンネームでWEBニュースサイトへコラムを書く仕事をしていたこともあったのですが、本名名義ではこれが初となります。当企画にはもう一本記事を書いており、書籍としても出版される予定です。ぜひ、ご笑覧いただければと思います。
2018年5月に聴いた新譜
GOOD THING [LP] (180 GRAM, DOWNLOAD) [12 inch Analog]
- アーティスト: LEON BRIDGES
- 出版社/メーカー: COLUMBIA
- 発売日: 2018/05/04
- メディア: LP Record
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「4月はいちばん無情な月」とでも言うべき感じだったが5月はやや落ち着けた。やはり心がダメだと耳もダメだなぁ……。なかでもリオン・ブリッジズの新譜は最高だったな。2018年のベスト10に確実に入ってくるであろう名盤。R&Bのレガシーを強烈に感じさせるのだが、ブギーなどのトレンドの音も実に適切に導入してきて痺れた。
BEYONDLESS [帯解説・歌詞対訳/ボーナストラック1曲収録/国内盤] (OLE13762)
- アーティスト: ICEAGE,アイスエイジ
- 出版社/メーカー: BEAT RECORDS / MATADOR
- 発売日: 2018/05/04
- メディア: CD
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デンマークのIceageの新譜も素晴らしかったなぁ。おお、さらに垢抜けましたね、って感じで。単なるJoy Divisionフォロワーから大きく花を開かせつつあるように思った。
ジャネール・モネイは先行で公開されていた曲が激烈にプリンスっぽくて心が踊ったが、全編が公開されたときに冒頭の曲が「フィーチャリング ブライアン・ウィルソン」というまさかの組み合わせで魂消た。あまりブライアン・ウィルソンが参加する必然性は感じないのだが、わ! ブライアン・ウィルソンだ! って思う記名性の高さ。
ALL THE TIME [LP] (180 GRAM, NEW 2018 ALBUM LED BY FOUNDING MEMBER OTIS WILLIAMS) [12 inch Analog]
- アーティスト: THE TEMPTATIONS
- 出版社/メーカー: UME
- 発売日: 2018/05/04
- メディア: LP Record
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老舗R&Bヴォーカル・グループ、The Temptationsの新譜も最高。すげえジジイたちがえげつないほどにヒット曲をカヴァしまくる内容で、これがアメリカのR&B芸能の懐の深さだな、と感心した。なかでもジョン・メイヤーのカヴァが良かったな……。
先月のWeekendの新譜はあんまりピンとこなかったが、この人のは新鮮に聴けた。
こちらはtdさんのブログで知る。抗えない音だったな……。CSS(もはやかなり懐かしい)や、Cut Copy(これはこのアルバム経由で最新作のリリースに気づいた)を彷彿とさせる、イケイケの音楽であった。広尾のハンバーガーショップでオシャレな女性に囲まれながらBLTサンドを食べてたらサムシングを感じた。
話題作。このバンドがDCPRGみたいなサウンドに寄っていくとは思わなかったが、まったくハマれず。歌が上手くないバンドにはまったく反応しなくなっているんだな……と思ってしまった……。
- アーティスト: Thundercat,サンダーキャット
- 出版社/メーカー: BEAT RECORDS / Brainfeeder
- 発売日: 2018/02/02
- メディア: CD
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サンダーキャットの『Drunk』のチョップド & スクリューでエディットされた盤。オリジナルは「期待してたのに、全然だな……」という感じで配信で済ませてしまっていたのだが、これは最高だったな……むしろ、こっちは正調なのでは、っていう感じのハマり方。
なんかこないだのロイヤル・ウェディング的なイベントで演奏を披露していたらしい。今注目のチェロ奏者のアルバム。メインがショスタコーヴィチの協奏曲第1番で、そこにボブ・マーリーとかレナード・コーエンの曲が入っているという、センスありすぎでしょう、そういう売り方嫌いじゃないぜ、と思う一枚だった。メインがまた聴かせる演奏で、この曲といえば、ロストロポーヴィチ、マリア・クリーゲルやアルト・ノラスの演奏が名盤だし、彼・彼女らのテンポ設定がスタンダードとして刷り込まれているのだが、この若い演奏者はそれよりもずっと落ち着いたテンポで聴かせるのだからすごい。
- アーティスト: カエターノ・ヴェローゾ& モレーノ・ヴェローゾ& Zeca Veloso
- 出版社/メーカー: Universal Music International Ltda.
- 発売日: 2018/05/25
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そしてカエターノ・ヴェローゾが3人の息子と組んで開催したコンサート・シリーズのライヴ盤。正直カエターノのスタジオ盤はまだか、と思わなくもないが、ファンとしてはマストアイテムである。しかしよ、息子よりもカエターノの歌声のほうが瑞々しいんだからすごいよね……。
- アーティスト: SPANK HAPPY
- 出版社/メーカー: Sony Music Artists Inc.
- 発売日: 2018/05/30
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そしてSpank Happy。まさか新曲が聞けるとは。
千葉雅也 『メイキング・オブ・勉強の哲学』
「自己啓発本を偽装した哲学書」、『勉強の哲学』はいかにして書かれたかを解き明かすドキュメントであり、執筆メソッド・思考術に関する良書。そこでは哲学・思想の言語が用いられていることを考えれば、これも哲学書・思想書として分類できるだろう。紙 + 手書きによるアイデア出しから、TwitterやEvernoteなどのツールを駆使しつつ、WorkFlowyによって構造化されたアウトラインによる分析・検討、時には他人との対話……というプロセスを経て、あの恐ろしくリーダブルな哲学書が執筆されたことがわかる。わたし自身すでに使っているツール、書き方も紹介されていたりするんだけれど、それがどういう風に意味づけられるのか、を再確認させてくれるところも面白かった。
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AirPods買ったんだ日記
Apple AirPods 完全ワイヤレスイヤホン Bluetooth対応 マイク付き MMEF2J/A
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マルセル・プルースト 『失われた時を求めて 第1篇 スワン家の方へ』
失われた時を求めて〈1〉第一篇 スワン家の方へ〈1〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
- 作者: マルセルプルースト,鈴木道彦
- 出版社/メーカー: 集英社
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失われた時を求めて〈2〉第一篇 スワン家の方へ〈2〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
- 作者: マルセルプルースト,鈴木道彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/03/17
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- 購入: 2人 クリック: 25回
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先日読んだジョゼフ・チャプスキの『収容所のプルースト』からの流れで、ずっと読み直したいと思っていた『失われた時を求めて』の再読にとりかかった。過去のブログ記事を検索してみると、最初に読了したのが2007年、その2012年には1巻だけ読み直していた。およそ、5〜6年の周期で読み直しにチャレンジしているようだが、前回完走に失敗しているので今回は見事走り抜きたい。なお、読んでいるプロセスはTwitterで実況している。
『スワン家の方へ』に手を伸ばして見た。何年か前に2周目行こうとして、結局1巻しか読めなかったんだ。
— mstk (@mk_sekibang) April 24, 2018
ところで、わたしはあまり過去に読んだ本の再読ってしないタイプなのだが、再読って良いものだな、って思いもする。最初に読了したとき、わたしにはまだパリを訪れた経験がなかったし、19世紀末、20世紀初頭のパリの文化についても知識がめちゃくちゃ浅かった。それが今やパリは3度訪問しているし、プルーストの生きた時代についての知識もチャプスキやもちろん鹿島茂の著作などでも得られている。昔よりも「読めるようになった」という実感があって楽しいし、そう、今、わたしは33歳なんだけれども、2巻の「スワンの恋」の時間軸におけるスワンの同年代だったりするわけで、インターネット的な言葉を用いて表現するのであれば「わかりみ」がすごい。
「スワンの恋」のときのスワンは30代前半らしい。30代前半における恋愛に関する記述がとても良いな。「もはや恋も、不意を打たれた私たちの心が手をこまねいているうちに、未知の宿命的な固有の法則に従ってひとりでに進展するものではなくなっている」。#失われた時を求めて
— mstk (@mk_sekibang) May 19, 2018
こういう記述とかすげえグッとくる。30歳過ぎたら、恋が向こうからやってきて「ほら、頑張れ」なんて鼓舞してくれない、自分で頑張って恋をしないと恋愛なんてできないんだよ、という感じ。そういうの、あるよね、と。
また、《語り手》の幼少時代における妄想の膨らまし方と、現実と出会ったときの幻滅の繰り返し、これは何度読んでも面白いし、今回の読み直しにおける発見は「こんなに面白いサブキャラが登場してたんだな」という気付きを得たりもしている。1巻におけるレオニ叔母と家政婦のフランソワーズとの掛け合いや、2巻におけるコタール医師の滑稽さ(メタファーや言い回しや謙遜を、なんでも文字通りに理解してしまう)とか最高だな、と思う。
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仕事用のリュックを新調した
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ブログの過去記事を調べたところ、前にIncaseのリュックを買ってから4年以上経っていた。渋谷の西武で23000円(税抜)だったが、Amazonの並行輸入品だとだいぶ安いな……(でも、実際にモノを見たサービス料とでも考えよう。脱ネット通販だ)。
ダニエル・カーネマン 『ファスト&スロー: あなたの意思はどのように決まるか?』
ファスト&スロー(上) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
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ファスト&スロー(下) あなたの意思はどのように決まるか? (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
- 作者: ダニエル・カーネマン,村井章子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2014/06/20
- メディア: 文庫
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ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学の大家、ダニエル・カーネマンの著作を読む。面白いんだが、ヴォリュームが多すぎて正直後半は飽きた(帯では「プライベートやビジネスで、よりよい決断への道筋を示す必読のノンフィクション」とあるが、これは明らかに煽りすぎだろう、と思う)。従来の経済学が想定してきた人間観、つまり、人間は合理的な判断を常におこなって意思決定をおこなっている、というものから、現実の人間像がいかにかけはなれているかを心理学のアプローチで解き明かすような本。
本書では人間が意思決定・判断をおこなう際の脳の働きを「システム1」と「システム2」のふたつにわけて記述されている。前者が直感的な「速い思考」、後者が熟慮をおこなう「遅い思考」。で、人間の意思決定プロセスにおいてはこのシステム1がまず先頭に立って働いてしまうので、ちょっと考えればわかるような問題でも間違えがちだったりする。いかに人間の脳がズルをしがちなのか、サボりがちなのかがよくわかる。