失われた時を求めて〈1〉第一篇 スワン家の方へ〈1〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
- 作者: マルセルプルースト,鈴木道彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/03/17
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失われた時を求めて〈2〉第一篇 スワン家の方へ〈2〉 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
- 作者: マルセルプルースト,鈴木道彦
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/03/17
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先日読んだジョゼフ・チャプスキの『収容所のプルースト』からの流れで、ずっと読み直したいと思っていた『失われた時を求めて』の再読にとりかかった。過去のブログ記事を検索してみると、最初に読了したのが2007年、その2012年には1巻だけ読み直していた。およそ、5〜6年の周期で読み直しにチャレンジしているようだが、前回完走に失敗しているので今回は見事走り抜きたい。なお、読んでいるプロセスはTwitterで実況している。
『スワン家の方へ』に手を伸ばして見た。何年か前に2周目行こうとして、結局1巻しか読めなかったんだ。
— mstk (@mk_sekibang) April 24, 2018
ところで、わたしはあまり過去に読んだ本の再読ってしないタイプなのだが、再読って良いものだな、って思いもする。最初に読了したとき、わたしにはまだパリを訪れた経験がなかったし、19世紀末、20世紀初頭のパリの文化についても知識がめちゃくちゃ浅かった。それが今やパリは3度訪問しているし、プルーストの生きた時代についての知識もチャプスキやもちろん鹿島茂の著作などでも得られている。昔よりも「読めるようになった」という実感があって楽しいし、そう、今、わたしは33歳なんだけれども、2巻の「スワンの恋」の時間軸におけるスワンの同年代だったりするわけで、インターネット的な言葉を用いて表現するのであれば「わかりみ」がすごい。
「スワンの恋」のときのスワンは30代前半らしい。30代前半における恋愛に関する記述がとても良いな。「もはや恋も、不意を打たれた私たちの心が手をこまねいているうちに、未知の宿命的な固有の法則に従ってひとりでに進展するものではなくなっている」。#失われた時を求めて
— mstk (@mk_sekibang) May 19, 2018
こういう記述とかすげえグッとくる。30歳過ぎたら、恋が向こうからやってきて「ほら、頑張れ」なんて鼓舞してくれない、自分で頑張って恋をしないと恋愛なんてできないんだよ、という感じ。そういうの、あるよね、と。
また、《語り手》の幼少時代における妄想の膨らまし方と、現実と出会ったときの幻滅の繰り返し、これは何度読んでも面白いし、今回の読み直しにおける発見は「こんなに面白いサブキャラが登場してたんだな」という気付きを得たりもしている。1巻におけるレオニ叔母と家政婦のフランソワーズとの掛け合いや、2巻におけるコタール医師の滑稽さ(メタファーや言い回しや謙遜を、なんでも文字通りに理解してしまう)とか最高だな、と思う。