sekibang 3.0

Nouvelle茶人、あるいは勉強家によるブログ

坂口恭平 『お金の学校』

お金の学校 作者:坂口恭平 晶文社 Amazon 「経済とは流れだ」と繰り返されるように、流れていく文章の気持ちよさ。noteの連載ですべて読んでいたけれど、改めて読み直して、そのページをめくる肉体的な気持ちよさが良かった。

ロレイン・ダストン ピーター・ギャリソン 『客観性』

客観性 作者:ロレイン・ダストン,ピーター・ギャリソン 名古屋大学出版会 Amazon Objectivity (Zone Books) 作者:Daston, Lorraine,Galison, Peter Zone Books Amazon この本については、MLだけ参加させてもらっている駒場の某研究会で読書会が開かれていて…

松本卓也 『創造と狂気の歴史: プラトンからドゥルーズまで』

創造と狂気の歴史 プラトンからドゥルーズまで (講談社選書メチエ) 作者:松本卓也 講談社 Amazon 近年のイケてるビジネス・シーンにおいて新たなアイデアを創出するのにはある種のクレイジーさが必要である……などと語られているらしい。そこでのクレイジーで…

ヴァージニア・ウルフ 『灯台へ』

灯台へ (岩波文庫) 作者:ヴァージニア ウルフ 岩波書店 Amazon 夏休みの読書。 俺はいま36歳で中年と呼ばれるのにやぶさかではない年齢に突入しているけれど、こういう小説を読むと「年を取るのも悪くないね」って思う。この作品は(たぶん)学生の頃に古い…

新宮一成 『ラカンの精神分析』

ラカンの精神分析 (講談社現代新書) 作者:新宮 一成 講談社 Amazon 「ラカン入門のベテラン」としての功徳を積むため読む。手頃で入手しやすいラカン入門の本で、かなり書きぶりにはクセがあるものの良い本だと思う。類書と大きく異なっているのは、フランス…

ロラン・バルト 『恋愛のディスクール・断章』

恋愛のディスクール・断章【新装版】 作者:ロラン・バルト みすず書房 Amazon 石川美子の新書『ロラン・バルト』(良い本です)によれば、本書は1975年から1977年にかけてバルトが開いた恋愛に関するセミナーでの講義がもとになったもの。出版は1977年。バル…

山本理顕 『住居論』

新編 住居論 (平凡社ライブラリー) 作者:山本 理顕 平凡社 Amazon 建築家の山本理顕の名前は、山下埠頭の再開発提案の関連で知った。 橫浜市は7月27日から8月7日まで、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)を紹介する企画展示を市役所ではじめた。我々の提…

2021年8月6日、あるいは中止

6時ごろ起きる。筋トレ、背中、腹筋。11Rep。 昨日買ったメリノウールのTシャツに袖を通す。なんかいい感じ。こういういい感じのものしか着たくない気分だ。 Un Canto Por Mexico (Volume 2) アーティスト:Natalia Lafourcade Sony Import Amazon メキシコで…

佐木隆三 『身分帳』

身分帳 (講談社文庫) 作者:佐木隆三 講談社 Amazon 西川美和の最新作『すばらしき世界』の原作。長らく絶版だったらしいのだが、映画化を期に復刊、西川自身も「復刊にあたって」という文章を寄せている。映画と原作の関係に触れた内容となっている。しかし…

伊藤亜紗 『手の倫理』

手の倫理 (講談社選書メチエ) 作者:伊藤亜紗 講談社 Amazon 頭で考えることから離れて、身体のレベルから立ち上ってくるような感覚について考えてみたいような気がしていて、伊藤亜紗の仕事がその関心に近いのかもしれない、と思って読んだ……のだが、なんか…

W. G. ゼーバルト 『移民たち: 四つの長い物語』

移民たち:四つの長い物語(新装版) 作者:W・G・ゼーバルト 白水社 Amazon 2021年に読むゼーバルトの2冊目。ここ数年はかなり小説を読む機会が減っていて、それはなぜかといえば、フィクションの世界に浸るような余裕、というか隙間がどんどん少なくなっている…

トマ・ピケティ 『21世紀の資本』

21世紀の資本 作者:トマ・ピケティ みすず書房 Amazon もう邦訳がでてから6年以上が経ってしまって「なんでこの本、流行ったんだっけ……?」って疑問が浮かんでしまうが、ちゃんと面白い! 経済学の基礎知識を備えていれば全然難しい話はでてこないから、体力…

保坂和志 『書きあぐねている人のための小説入門』

書きあぐねている人のための小説入門 (中公文庫) 作者:保坂和志 中央公論新社 Amazon 6月のはじめ、急に「あ、なんかコレちょっと書いてみようかな」という思いつきから小説めいた文章を書きはじめて、それが結果的に400字詰め原稿用紙で181枚の小説らしきも…

檜垣立哉 『ドゥルーズ: 解けない問いを生きる』

ドゥルーズ 解けない問いを生きる シリーズ・哲学のエッセンス 作者:檜垣 立哉 NHK出版 Amazon ちゃんとわかってみたいが、ことごとく跳ね返されてしまう哲学者、というのがいて(大抵の哲学者が自分にとってそうなのだが……)とくにドゥルーズはその代表格と…

三上美和 『原三渓と日本近代美術』

原三溪と日本近代美術 作者:美和, 三上 国書刊行会 Amazon 2019年の夏に横浜美術館で開催されていた原三渓の回顧展で購入した本。2年ぐらい寝かしてしまったが面白かった。2年寝かしているあいだに自分も日本美術史の教科書を読んで勉強したりしてたから、読…

『プルーストと過ごす夏』

プルーストと過ごす夏 作者:アントワーヌ・コンパニョン,ジュリア・クリステヴァ 光文社 Amazon 元になっているのはプルースト研究者や批評家たちが自分の関心に寄せながら『失われた時を求めて』について語る、という2013年に放送されたフランスのラジオ番…

『よくわかるやきもの大事典』

よくわかるやきもの大事典 ナツメ社 Amazon 大変良い本。類書はいろいろあると思うが、日本の各窯元の歴史から現代に販売しているものの特徴や、食事を盛り付けた際の使用例をフルカラーで紹介し、さらには中国・朝鮮・ヨーロッパの陶磁器まで取り上げている…

佐々木達夫 『日本史小百科 陶磁』

陶磁 (日本史小百科) 作者:佐々木 達夫 近藤出版社 Amazon 正月にブックオフで抜いた本。「日本史小百科」というシリーズのなかの陶磁器に関する一冊なのだが、記述は日本に留まらず人類史における陶磁器の成り立ちや、日本の陶磁器に多大な影響を与えた中国…

松尾潔 『永遠の仮眠』

永遠の仮眠 作者:松尾潔 新潮社 Amazon 音楽プロデューサー松尾潔による小説家デビュー作。これまで著者の著作には(たぶん)すべて目を通してきたし、NHK-FMのラジオ番組「メロウな夜」はここ数年ほぼ毎週聴いている。そんなファンの贔屓目を抜きにしても素…

金継ぎで最低限なにを買えばいいか教えます

View this post on Instagram A post shared by mstk (@mk_sekibang) 先日より夜な夜な金継ぎをやっていて、インスタに作業記録を載せている(写真は昨晩、金粉(本当は真鍮粉)を蒔いた直後の茶碗)。さっき友達から興味がある、と言われたんで、最低限なに…

仲正昌樹 『現代哲学の最前線』

現代哲学の最前線 (NHK出版新書) 作者:仲正昌樹 NHK出版 Amazon 思想・哲学の解説本で定評がある著者による「現代哲学」本。近頃よく聞くトピックをしぼってコンパクトに解説してくれるありがたい本……なのだが、初学者向けでは全然ない。ある程度ほかの入…

ロラン・バルト 『偶景』

偶景 作者:ロラン バルト みすず書房 Amazon バルトの死後出版のひとつ。60年代末のモロッコで書かれた断片的なテクストや、79年(死の前年)に日記形式で綴られた文章などを収録している。「偶景」というタイトルはフランス語の「incedent(アンシダン)」…

『哲学の歴史 第6巻: 知識・経験・啓蒙 【18世紀】』

哲学の歴史〈第6巻〉知識・経験・啓蒙―18世紀 人間の科学に向かって 発売日: 2007/06/01 メディア: 単行本 割と細かく読書メモをこのブログに書き残していた。この第6巻では、おもに英仏の哲学者を中心に取り上げている。巻末の参考文献も充実していて学習効…

ジョナサン・ラスマセン 『ユニコーン企業のひみつ: Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方』

ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方 作者:Jonathan Rasmusson 発売日: 2021/04/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) 話題書。著者はアジャイル開発のノウハウを伝える著作で有名なエンジニア・アジャイルコーチ。本書ではS…

佐々木健一 『美学辞典』

美学辞典 作者:佐々木 健一 発売日: 1995/03/01 メディア: 単行本 先日読んだ『美学への招待』が良い本だったので、ルーマンの『社会の芸術』を読む勉強会に参加した時(たぶん)から「一家に一冊レベルの良い本」とレコメンドされていた『美学辞典』も読む…

松本俊彦 『薬物依存症』

薬物依存症 【シリーズ】ケアを考える (ちくま新書) 作者:松本俊彦 発売日: 2018/09/28 メディア: Kindle版 著者が高校生の薬物乱用防止ポスターコンクールの審査員をつとめていたエピソード。高校生たちが描く画一的な薬物乱用者のイメージ(目が落ちくぼん…

堀道弘 『おうちでできるおおらか金継ぎ』

おうちでできるおおらか金継ぎ 作者:堀道広 発売日: 2018/01/31 メディア: 単行本(ソフトカバー) 買って3年ぐらい積読していた金継ぎの入門書。どのへんがおおらかなのかよくわからなかったが漆を使った金継ぎの手法についてイチから解説している。まとま…

ジョセフ. E. スティグリッツ 『スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM』

スティグリッツ PROGRESSIVE CAPITALISM(プログレッシブ キャピタリズム) 作者:ジョセフ E スティグリッツ 発売日: 2019/12/20 メディア: Kindle版 先日「他山の石とする」という言葉を完全に間違った用法で使った日本の政治家がい…

土井善晴 『くらしのための料理学』

くらしのための料理学 NHK出版 学びのきほん 作者:土井 善晴 発売日: 2021/03/25 メディア: Kindle版 著者の料理に関する「思想」(といって差し支えないだろう)のエッセンスをまとめた最新著作。旧来からの読者にとっては繰り返しも多いかもしれないが、料…

佐々木健一 『美学への招待 増補版』

美学への招待 増補版 (中公新書) 作者:佐々木 健一 発売日: 2019/07/19 メディア: 新書 「考えさせられる」というクリシェほど、本当は考えてなさそうなものもないが、これは本当に考えさせられる本だ。美学のさまざまな概念を紹介・説明するのではなく、日…