sekibang 3.0

Nouvelle茶人、あるいは勉強家によるブログ

『富野由悠季の世界』

富野由悠季の世界 キネマ旬報社 Amazon www.kinejunshop.com 先日、青森県立美術館のショップで買い求めた『富野由悠季の世界』展の図録。展覧会自体は2019年〜2022年まで全国の美術館を巡回しており、この図録自体もわたしが持っているもので4刷となってい…

細野晴臣 『細野晴臣インタビュー THE ENDLESS TALKING』

細野晴臣インタビュー THE ENDLESS TALKING (平凡社ライブラリー) 作者:細野 晴臣 平凡社 Amazon 編者・聞き手は北中正和。1991年から開始された細野晴臣へのロングインタヴューをまとめ、1992年に刊行されている。いまから30年前。細野晴臣もまだ40代の半ば…

吉田秀和 『私の好きな曲』

私の好きな曲―吉田秀和コレクション (ちくま文庫) 作者:吉田 秀和 筑摩書房 Amazon 吉田秀和がひたすら好きな曲について詳しく解説していく文章を集めている。有名曲ばかりではなくヤナーチェクのオペラやヴォルフの歌曲などほんとうに個人的な偏愛曲のよう…

ニコラ・フルリー 『現実界に向かって: ジャック=アラン・ミレール入門』

現実界に向かって: ジャック=アラン・ミレール入門 作者:フルリー,ニコラ 人文書院 Amazon ジャック=アラン・ミレール。ラカンの著作に触れようとする多くの人々がその名前を当たり前のように知っている(「セミネール」シリーズの編者であり、娘婿であり、…

東畑開人 『心はどこへ消えた?』

心はどこへ消えた? (文春e-book) 作者:東畑 開人 文藝春秋 Amazon 著者は臨床心理士。日々のカウンセリング業務から生まれたエピソードや大学の仕事、時事ネタから心のあり方、問題について綴ったエッセイ集。まったく本の内容を知らずにタイトルだけから「…

スラヴォイ・ジジェク 『イデオロギーの崇高な対象』

イデオロギーの崇高な対象 (河出文庫) 作者:スラヴォイ ジジェク 河出書房新社 Amazon ひさびさにややこしめな本に取り組む。ジジェクの主著のひとつ。マルクス、ラカン、ヘーゲル(そしてドイツ観念論)を基軸にして、ときに映画や文学の例をまじえながら進…

ロラン・バルト 『ロラン・バルトによるロラン・バルト』

ロラン・バルトによるロラン・バルト 作者:ロラン・バルト みすず書房 Amazon 1975年に刊行されたバルト自身によるロラン・バルト入門的な一冊。「わたし」、「彼」、ときには「あなた」と人称を切り替えながら、自らのテクストで使われている概念の解説であ…

マイケル・ロップ 『リーダーの作法: ささいなことをていねいに』

リーダーの作法 ―ささいなことをていねいに 作者:Michael Lopp オライリージャパン Amazon 著者は数々の有名テック企業でマネジメント経験を持つ人物。エンジニアのチームにおけるリーダーシップについて書かれた本だけれど、とくに業界を限定せずに読める本…

鴨長明 『方丈記』

方丈記 (ちくま学芸文庫) 作者:鴨 長明 筑摩書房 Amazon 平安時代の末期から鎌倉時代を生きた人物、鴨長明による随筆。このちくま学芸文庫版は原文を通しで読ませるパートを独立させ、それに加えて、原文を適当な段落で切って、訳を挟み、さらには詳細な解説…

小西甚一 『古文の読解』

古文の読解 (ちくま学芸文庫) 作者:小西 甚一 筑摩書房 Amazon 古文の教養を身につけたい! と思って読む。軽く通読しただけなのでなにかが身についた感じは一切ないのだが、平安時代の暮らしぶりなどは普通に知らなかったことが多く勉強になる。本書でも問…

細野晴臣 『とまっていた時計がまたうごきはじめた』

細野晴臣 とまっていた時計がまたうごきはじめた (平凡社ライブラリー0890) 作者:細野 晴臣 平凡社 Amazon ここ最近『分福茶釜』を読み返したりしていて、あらためて細野晴臣の関連著作を読んでみようと思っていたのだった。本書は2012年7月から2014年6月に…

ロラン・バルト 『明るい部屋: 写真についての覚書』

明るい部屋―写真についての覚書 作者:ロラン バルト みすず書房 Amazon ロラン・バルトの最晩年(と言っても彼の場合、事故死なので自分の死を意識して書かれた本ではない、ただ、本書にはバルトがずっと一緒に暮らしていた母の死の影響が大きくある)に書か…

横田増生 『ユニクロ潜入一年』

ユニクロ潜入一年 (文春文庫) 作者:横田 増生 文藝春秋 Amazon 『ユニクロ帝国の光と影』の続編。柳井正がインタヴューで語った「実際に現場を見てみてほしい」という挑発的な物言いをガチで受け取った著者によるUNIQLO潜入ルポタージュ(前作でファーストリ…

北村紗衣 『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード: ジェンダー・フェミニズム批評入門』

お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード ジェンダー・フェミニズム批評入門 (文春e-book) 作者:北村 紗衣 文藝春秋 Amazon 間違いなく、いま最も生産的な書き手の一人であろう著者の新刊。「プロローグ」によれば、いろんな雑誌やメディアに掲載された文章を集…

トマス・ピンチョン 『V.』

V.〈上〉 (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 新潮社 Amazon V.〈下〉 (Thomas Pynchon Complete Collection) 作者:トマス ピンチョン 新潮社 Amazon トマス・ピンチョン、1963年発表の処女長編を新訳で読む(旧訳は学生時代に読…

横田増生 『ユニクロ帝国の光と影』

ユニクロ帝国の光と影 作者:横田増生 文藝春秋 Amazon 2011年に刊行されたのち、UNIQLOを運営しているファーストリテイリング(FR)から名誉毀損で訴訟を起こされている本(結果はFRの全面敗訴)。その後、著者はUNIQLOへの潜入調査を敢行し、続編『ユニクロ…

服部正也 『ルワンダ中央銀行総裁日記』

ルワンダ中央銀行総裁日記 [増補版] (中公新書) 作者:服部正也 中央公論新社 Amazon 本書の存在を知ったのは山形浩生さんの書評だったと思うが、実際に読むまでにずいぶん時間が経ってしまった。いま、その書評を探してみたら2009年末のメルマガだったらしい…

『もっと知りたい速水御舟 生涯と作品』

もっと知りたい速水御舟 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション) 東京美術 Amazon 40歳で早逝した日本画家、速水御舟の生涯と作品の外観。作品の写真があまり大きくないのだが丁寧な解説がありがたく、この画家に興味をもったらまず最初に読むべき本…

鈴木忠平 『嫌われた監督: 落合博満は中日をどう変えたのか』

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか (文春e-book) 作者:鈴木 忠平 文藝春秋 Amazon 大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したスポーツ・ノンフィクション。落合博満が中日の監督を務めた8年間を落合と一緒に仕事をした選手や球団スタッフの変化を媒介…

ハル・フォスター編 『視覚論』

視覚論 (平凡社ライブラリー) 平凡社 Amazon マーティン・ジェイ 「近代性における複数の「視の制度」」 ジョナサン・クレーリー 「近代化する視覚」 ロザリンド・クラウス 「見る衝動(インパルス)/見させるパルス」 ノーマン・ブライソン 「拡張された場…

『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード: ジェンダー・フェミニズム批評入門』を御恵投いただきました!

お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード ジェンダー・フェミニズム批評入門 作者:北村 紗衣 文藝春秋 Amazon 北村紗衣さんより新刊を御恵投いただきました! ありがとうございます! とてもかわいい装丁。いつもブログに書いている舞台評や映画評を楽しみに読ま…

高橋ユキ 『逃げるが勝ち: 脱走犯たちの告白』

逃げるが勝ち 脱走犯たちの告白(小学館新書) 作者:高橋ユキ 小学館 Amazon 『つけびの村』が大きな話題を呼んだ著者による『つけび』以降第一作。記憶に新しい2人の逃走犯と1人の昭和の脱獄犯について、逃走犯本人や現地の住民への取材も重ねながら、その…

古田徹也 『言葉の魂の哲学』

言葉の魂の哲学 (講談社選書メチエ) 作者:古田徹也 講談社 Amazon 2019年にサントリー学芸賞を受賞している。我々が日常的に使っている言葉をめぐって平易な言葉で哲学する大変学びある一冊だと思う。本書を読むにあたって前提知識もほとんど必要でない思わ…

ルシア・ベルリン 『すべての月、すべての年』

すべての月、すべての年 ルシア・ベルリン作品集 作者:ルシアベルリン 講談社 Amazon アメリカで出版されたルシア・ベルリンの短編集『掃除婦のための手引書』(2015年)から、2019年に邦訳された『掃除婦のための手引書』に収録されていなかった作品を収録…

土井善晴 『一汁一菜でよいと至るまで』

一汁一菜でよいと至るまで(新潮新書) 作者:土井善晴 新潮社 Amazon 料理研究家、土井善晴先生の新刊。書名から推察されてるとおり、著者の自伝的な内容も含まれていて、土井勝の息子として生まれ育ち、国内外での修業を経て『一汁一菜でよいという提案』で…

ウィリアム・フォークナー 『サンクチュアリ』

サンクチュアリ (新潮文庫) 作者:フォークナー 新潮社 Amazon フォークナーは『八月の光』を7年前に読んで以来らしい。 sekibang.blogspot.com 当時の記録を紐解くと、かなり感銘を受けていたようだがどんな話だったか今となってはまったく覚えていない。そ…

濱田武士 『魚と日本人: 食と職の経済学』

魚と日本人――食と職の経済学 (岩波新書) 作者:濱田 武士 岩波書店 Amazon 日本の漁業や魚介類の流通、消費に関する概説書。著者は現在日本の魚食文化の危機に警鐘を鳴らしており(魚介類の消費量の減少や、水産資源の減少、さらには漁業のビジネスの存続)、…

木島泰三 『自由意志の向こう側: 決定論をめぐる哲学史』

自由意志の向こう側 決定論をめぐる哲学史 (講談社選書メチエ) 作者:木島泰三 講談社 Amazon 國分功一郎の『中動態の世界』のヒット(したんだよね?)以降、意思(と責任)の哲学的問題に関して関心をもつ人は多かろうと予想しているのだが、本書はそうした…

大友克洋 『Animation AKIRA Storyboards 2(OTOMO THE COMPLETE WORKS 22)』

Animation AKIRA Storyboards 2 (OTOMO THE COMPLETE WORKS) 作者:大友 克洋 講談社 Amazon こちらの続き。2巻に映画の後半部分を収録。さらに没になった絵コンテやラフも収録している。これが良い。映画でも漫画でも描かれなかった第三次世界大戦のシーンや…

北村紗衣 『批評の教室: チョウのように読み、ハチのように書く』

批評の教室 ──チョウのように読み、ハチのように書く (ちくま新書) 作者:北村紗衣 筑摩書房 Amazon 文学部的な読み方(作品鑑賞の仕方)を学べるやさしい入門書。非文学部に在学中の批評に興味がある学生向けに適したコンテンツのような気がする。気がする、…