去年の暮れに読んだ『檀流クッキング』が面白かったので。檀一雄が日本中、世界中をかけめぐって各地で食べられている食材を試してみる、というエッセイ集。「国内編」は1965年、「海外編」は1972年に連載されていたらしい。エスニック料理(もはや死語か?)やワールド・ミュージック以前に世界に飛び出した感度は、やはり尊敬に値する。食のコスモポリタン。高級料亭、一流レストランでの飲食は自分には合わない。檀一雄は自分のスタイルをこのように説く。
そこらの町角をほっついて、なるべく人だかりしているような店先に走り込み、なるべく人様が喜んで食べているような皿を註文し、焼酎でも泡盛でも何でもよろしい、手っ取り早くつぎ入れてくれるコップ酒をあおるのが慣わしだ。
食を専業にしている人ではない人たちのなかで「食の文化人」というカテゴリー作るならば、伊丹十三を「クラシック派」の筆頭に数えられるだろうけれど、檀一雄は「ストリート派」の筆頭にちがいない。
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