「モダニズムの眼が抑圧している欲望とはなにか?」、「現代最重要の美術批評家の主著」という惹句に魅せられて読んでみるも、ラカンを援用した図式とか出されてしまって大部分が「全然わかんない(笑)」となってしまった。役者解説で丁寧に本書の大まかな論旨を要約してくれているのだが、それでも全然ついていけてない。
かろうじてついていけたのが、ロラン・バルトのプロレス論(そんなのあるのかよ)の引用からはじまるピカソ論。これは面白い。論旨のコアを雑に紹介すると「ピカソは絵画は時間を静止させる特性を持っている、と言ってたけども、実はその作品には運動が隠されていて、アニメーション的、パラパラ漫画的だ!」ということになる。ピカソがプロレス大好きで何時間もテレビにかじりついてみていた、という証言がすでに面白いし、リング状でせわしなく飛び跳ねるほぼ裸の肉体が絵画のイメージと重ねられるのが良いな、と。
そういえば数年前にハル・フォスターの本を原著で読んでみたりもしたことがあったっけ。これもほとんど歯が立ってなかった。現代美術批評、いつか読めるようになる日がくるのだろうか(読めるようになってどうする、という気もする)。クレメント・グリーンバーグとかからちゃんと読んでいったほうが良いのかな。