sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

浅田彰 『ヘルメスの音楽』

 

実は浅田彰はいままで一冊も読んでないのだが、昨年末かな、坂本龍一のラジオ番組に坂本龍一の代役として出演し、BTSについてその文化的なコンテクストと楽理的な解説も交えて熱く語っていたのが面白く、それで音楽と絵画について語る小著を手に取った。1985年の本。かなり古い。批評を後から読み直す、その際には経年によって劣化や、あるいは熟成がでたりするもので、そのジャッジがまた面白からんや、って感じなのだが、どうなんだろう、コレはあまり熟している感じはない。わたしにわかるのは音楽、クラシックに関する文章だけだが、ここでなされる価値判断、これは、語り口は現代思想の言葉が出てきたり、とにかく速い文体で書かれているものの、かなり標準的なセンス、にも思える。たとえば「ポリーニはテクニックはすごいが、実につまらない」みたいなこと(今現在のポリーニはまた別な感じになっているが)。いや、実は吉田秀和を思想っぽく語り直してるだけでは、みたいな感じもある。