町田康訳の『宇治拾遺物語』を子供の読み聞かせにどうだ、と思って買っていたのだが、到底子供には相応しくない話が多分に含まれており、結局自分一人で読む羽目になった。『日本霊異記』に関しては別で過去に読んでいた。おどろくほど何も覚えていないが9年ほど前に記した記録によると性欲がらみの話を喜んで読んでいたようだ。なお、収録されているものはすべて抜粋。そういう大事な情報がどこに書いてあるのか、って感じだし(収録されている各説話の末尾に出典が記載されているが……)、どういう観点で抜粋されているのかが詳らかではない。学術的なものとして参照されることを想定していない、あるいは、そんな細かいことを気にする読者を想定していない、ということなのかもしれないが不親切だと思う。この本自体は面白いのだが「収録されている原典は全体としてどうなんだ」みたいなのが全然わからない。たとえば、性欲がらみの話を例に取れば、それが原典(もっともなにを原典とするのか、という話もあるのだろうが)全体のエピソードに対して割合が異なっていたら、タイトルに対しての印象も変わるだろう。編者として、そういうのは気にしなくて良いんですかっ、って思う。