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文化的消費活動の日記

マイケル・サンデル 『それをお金で買いますか: 市場主義の限界』

 

原題の副題は The Moral Limits of Markets 、つまり、市場における道徳的な制限、であり、邦題の副題だとなんのことだかよくわからない気がする。お金をインセンティヴにした(反道徳的な)施策や、お金で公平性を無視すること、あるいはスポーツや教育の現場にまで蔓延る命名権の問題を収集して「どうですか?」と問いかけるような本。経済学者の考える合理性と、道徳・倫理がハレーションを起こし、ときに合理性を上書きするような話がいろいろと載っている。「企業広告をベタベタと貼り付けられたパトカー」や「企業によって提供される、宣伝目的も含む教材」のイヤさを説明する本でもあるのだが、そのイヤさが当たり前なこと過ぎて驚きは少ない。要するにおおむね「お金が全てではないですよね」ってことにたどり着いてしまうわけで、そりゃそうだろう、って感じでもある。