今月はリオン・ウェア関連の旧譜ばっかり聴いてたんで、新譜はあんまり……と思っていたのだが、やっぱり結構な量をチェックしていた。
あとPrefab Sproutも聴いていた。

- アーティスト: Prefab Sprout
- 出版社/メーカー: Sony Bmg Europe
- 発売日: 2007/04/02
- メディア: CD
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Future / HNDRXX
Future / FUTURE
ラッパー、Futureが2週連続でリリースした新譜(いまのところデジタルリリースのみ)。デジタルになってサイズ感やリリースタイミングなどに制約がなくなって自由になったのかもしれないが、わたしのようなオールドタイプ人間からすると「アルバムって覚えてる?(アルバムも大事だよ)」と言いたくなってしまう。2枚のアルバムのうち、The Weekendやリアーナが参加した『HNDRXX』のほうが好き。
Sun Kil Moon / Common As Light and Love Are Red Valleys of Blood

Common As Light and Love Are Red Valleys of Blood
- アーティスト: Sun Kil Moon
- 出版社/メーカー: Caldo Verde
- 発売日: 2017/02/24
- メディア: CD
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Apple Musicにすすめられただけなので、詳細がよくわからないのだがサンフランシスコのバンドらしい。長尺の曲が並んでてて2時間超える大作。アコースティックなポストロック、って感じで嫌いになれず、よく聴いていた。うとうとしながら聴いていても、なかなか終わらない、という。こういう音楽を「スロウコア」と呼ぶことを学んだ。
Dirty Projectors / Dirty Projectors
バンド内で痴情のもつれがあって、デイヴ・ロングストレスのソロ・プロジェクトとなってしまったセルフタイトル作。前作だけ聴いていて「自分の嫌いなUSインディーっぽい感じが濃縮されている!」と思っていたんだけれども、痴情のもつれからの内省により、なんと今様な、アンビエントR&B、というのか、ジェイムス・ブレイクみたいになっていて魂消た。先月言及したねごとぐらいビックリした。内省的になるとジェイムス・ブレイクみたいな音楽を作りたくなるのか……。ただし、やっぱり、声がソウルフルに感じれないのがちょっと残念。盟友tmymさんのレコメンドがなかったら、スルーしていた一枚。
電気グルーヴ / TROPICAL LOVE
ここ何枚かジャーマンニューウェーヴをモダンにアップデートしたような独特すぎるポップ・ミュージックを展開し続けている気がするが今作も。このぶれなさがすごい。去年の石野卓球のソロも良かったけど、石野卓球の奇天烈にポップな部分が電気グルーヴに一番良い形ででてきているのって今なんじゃないか。表題曲の「Tropical Love」は「え、Buggles!?」と一瞬ビックリさせられて泣けた。
Taeyeon / My Voice
少女時代のテヨンちゃんのファースト・ソロ。まず、申し上げたいのだが、俺はこういう顔に弱すぎる……! ので、その時点で、100点満点中の300点。韓国語がわからないのでまったくなにを歌っているのかわからないのだけれども「ポップ・シンガー」然とした良い内容。ウマいのだが、R&B的なくどさがない。
TAEYEON (태연) - Lonely Night (MP3 Audio) [My Voice – The 1st Album]
Khalid / American Teen
1998年生まれ登場。アルバムのタイトルどおりまだ10代である。どうなっているのか。音が全然10代っぽいヤンチャっぽさやハネた感じがなく、彼の同世代はこんな落ち着いた音楽聴かないんじゃないか、と思う。歌詞はさすがに若者っぽいな、と思う瞬間があって、宇多田ヒカルみたいな、まだ子供なのに、完全に大人の歌じゃん、っていう驚きはない。大人サウンドにのっけて、若者歌詞を歌ってて、聴いているのは主に大人でしょ、といういくつもの屈折が生まれてしまうのが、ちょっと面白い。
John Mayer / The Search for Everything Wave
ジョン・メイヤーの連作EP。実はちゃんと聴くのは初めてなのだが、これだけハンサムで、歌も上手くて、ギターも上手くて、って神様は本当に不公平だ! と思わざるを得ない内容。モテ要素多すぎて、もし、ジョン・メイヤーが高校のクラスメイトだったら、女の子はみんな、ジョンに夢中、ということになってしまうに違い無い、ジョン・メイヤーがクラスメイトじゃなくて良かった……と切に感じるのだった。スムースな楽曲が並んでいるのだが、これだけ曲が良いと、ギターの主張がちょっと鬱陶しく感じられもする。
Ryan Adams / Prisoner
盟友tdsgkさんのブログ記事を読んでいなかったら、スルーしていた一枚。骨太なアメリカン・ロック、って感じで泣けまくった。内容について詳しいところは、tdさんがすでに書いていらっしゃるのだが、ブルース・スプリングスティーン感あり、The Smiths感あり、The La'sみたいな曲もあり、ホントに素晴らしかった。個人的に最近、ほら、ロックはもう終わり、ロックなんか誰も聴いてない、R&B最高、ヒップホップ最高、みたいな、アメリカのローティーンみたいな気持ちになっていたので、こういうアルバムに出会うと、おお、ロック・イズ・ノット・デッドだな、と思わされる。
Shawn Mendes / Illuminate

- アーティスト: ショーン・メンデス,イド・ジミシラニー,スコット・ハリス,ジェフ・ウォバートン,ズビン・タッカー
- 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
- 発売日: 2017/03/08
- メディア: CD
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トロント出身のショーン・メンデスもまだ10代なのだった(1998年生まれ)。これまたなんかすげえ才能だなぁ。日本盤でるのが2017年で、すでに2015年にファーストアルバムが出ているから、これが2枚目のアルバムになる。デビューアルバムもこの機会に聴いてみたのだが、深いイイ……。
Gabby & Lopez / Sweet Thing
これも、tmymさんのレコメンドがなかったらスルーしていた一枚。森俊二と石井マサユキという日本人ギタリストふたりによるギター・アンビエントとでも言うべき作品。単なる環境音楽、ではなくて、静けさのなかにグルーヴがあって良かった。こういう国籍不明の音楽、すごく好き。ちょっと漂う空気が西アフリカの音楽っぽくて心地よい。
蓮沼執太 & U-zhaan / 2 Tone
蓮沼執太とU-zhaanのコラボレーション、なのだが、アート・リンゼイも参加してたり、デヴェンドラ・バンハートが参加してたり、大変豪華なアルバム。アート・リンゼイの空気に合わせた繊細なギター・プレイ(当然ながらノイズである)は、こないだのソロ・アルバムで聴かせるものよりも何倍も素晴らしい。2017年のチルってる感じのアルバムは、これと、Gabby & Lopezで良いんじゃないか。
Guinga / Canção da Impermanência
ギンガの未発表曲集。なんでこれ未発表だったのか、と問い詰めたくなる良曲揃いで全編、ギンガ自身のギターと声(歌詞なし)で演奏されている。ブラジル音楽の深い影のようなものを感じさせてくれる音楽家だなぁ、と思う。
Kingdom / Tears in the Club
Kingdomはロスを中心に活動しているエズラ・ルービンの変名だそう。SZAやThe InternetのSydが参加しており、彼女たちの歌声がとにかく刺さる。音は、まぁ、今様なアンビエントR&Bって感じなのだが、結構音がソフトな感じで、耽美な感じさえする。
Cosmo Pyke / Just Cosmo
コスモ・パイクもまだ18歳で、これがデビューEPになるのかな。カリッド、ショーン・メンデスと同世代なのだが、今月聴いた10代のミュージシャンでは一番びっくりした。すげえ自由な感じがするな、と。曲の展開が全然読めない。
Omar Sosa & Seckou Keita / Transparent Water
キューバ出身のピアニスト、オマー・ソーサと、セネガル出身のコラ奏者、セクゥ・ケイタのコラボレーション。西アフリカの音楽の柔らかさに抗えず、こういうのずっと聴いてしまう……。
Josh Lawrence / Color Theory
ニューヨークのトランペッター、ジョシュ・ローレンスのアルバムは、ド直球なモダン・ジャズという感じがしてとても良かった。マイケル・ブレッカー直系の音というか、近年、ヒップホップとかR&Bに寄ったジャズに注目が集まっているけれど「ウチの店は、そういうのはやってません」という男気さえ感じる。
Real Estate / In Mind
「Televisionからテンションの高さを抜いたような」というtdさんの名文句、でハマってしまったUSのギターポップバンドの新作。相変わらず、Televisionからテンションの高さを抜いたような感じは健在で、最高なのだった。ヴォーカルがナヨッとしているのだが、演奏はちょっと骨太感を増していてグッとくる。こういうの抗えないな……。
Drake / More Life
こないだ新譜出したばっかりじゃん……! というドレイクの新譜。80分以上もあって、また散漫な感じになってるんじゃないか(前作のように)と思ったし、「アルバムって覚えてる?(アルバムも大事だよ)」と再び問いかけたくなってしまうのだが、これは良かった。なんでも、ドレイクはアルバムという概念をやめて、Mixtapeでいくことにしたらしい。リリース以降、ものすごい再生数を叩き出したらしいが、もっとコンパクトなアルバムでお願いしたいですね……良いんだけど。
坂本龍一 / async
坂本龍一の8年ぶりのソロアルバム。サントラの仕事したり、 『音楽図鑑』の再リリースだとか、他のミュージシャンとのコラボレーションだとかで、ずっとなにかをやっていた感じはするので、久しぶり、という感じもあまりないのだが、さすがの仕事、という感じがした。わたしは積極的にこの人の音楽を支持するものではないんだけど。たとえば表題曲の「async」なんか、クセナキスの《ピソプラクタ》のような始まり方をしていて、前衛音楽の古典作品で用いられた手法を「普通に」使いこなしている感じがする。このへんがもう大御所だなぁ、と。甘ったるいところがほとんどないのだが、ちゃんと聴かせる内容になっているところもすごい。