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文化的消費活動の日記

エミリー・オスター 『お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント』

お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント

お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント

 

かなり前に山形浩生さんが紹介していたシカゴ大学の女性経済学者が第一子妊娠を期に、妊活・妊娠・分娩に関する医学論文をとことん調べまくり、それに関して一般的に言われていること(たとえば、妊婦さんはカフェインをとっちゃいけない、だとか)がホントなのかどうかを検証する、という本。大変勉強になりました。「寿司や生卵についてあまり心配する必要はない」とか、「妊娠中に運動をしなくてもそんなに問題はない」とか、エヴィデンスをもとに「統計的にいったら、こういう判断ができるよ」ということが事細かに書いてある。

身近に妊婦さんがいたら、思わず(お節介を承知のうえで)書いてあることを教えたくなってしまう(が、それをわたしがやると大変に鬱陶しいことこのうえない存在になるだろう……)し、データを前にして著者がどういう判断を下したのかのドキュメンタリーにもなっていて面白い。「妊娠中に◯◯をすると(あるいはしないと)0.01%のリスクが発生する」という研究に対して「0.01%なら、◯◯しちゃってもいいや」という洗濯も取りうるし、逆に「0.01%のリスクがあるなら、◯◯は避けよう」という判断も取りうる。この本で著者がとった判断が絶対正しいものとして推しているわけではないのがフェアで良かった。あと単純に「実はその通説に根拠ないみたいだよ」とか教えてくれる部分は面白い。