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文化的消費活動の日記

虎屋文庫 『ようかん』

ようかん

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羊羹でおなじみの虎屋の資料室部門、虎屋文庫による羊羹本。500年以上続くと言われる社史も読みごたえがあるが、全国の美味しい羊羹や変わり種、羊羹に使われている材料、そして羊羹の歴史をひもとく羊羹好きにはたまらない一冊。文学作品にでてくる羊羹についてもまとめられていて楽しい。若い時分はあんこだの羊羹だのは「そんなに……」と思っていたが、30代も半ばになってくると無性に羊羹に惹かれるようになってくる……という手合は多い(そこのあなた! っていうか俺!)。デパ地下の虎屋のコーナーで自分用の「夜の梅」を買い求めたときに「なんか大人って感じ……」という感慨にふけったあなた!(っていうか俺!) そんなあなたこそ、読むべきであろう。漢字で書くと「羊(ひつじ)」「羹(あつもの・スープのことだ)」なのに、羊感やスープ感がゼロではないか! なんで!? みたいな疑問が本書によって喚起され、解決されるに違いない。個人的には福島県二本松市の玉嶋屋の玉羊羹がとりあげられているのも面白かった。幼少の砌よりかなり馴染みがある商品だったのだが、戦中、軍などからの要請により携帯しやすい羊羹を開発したそうです。

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