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文化的消費活動の日記

エルンスト・H・ゴンブリッチ 『若い読者のための世界史』

ルネサンス美術史の大家、ゴンブリッチが語りかける先史から現代までの歴史。ヨーロッパを中心とした歴史記述となるがイスラーム、中国、日本についてもページが割かれている。大家が子供のために語りかける企画モノ、と思っていたのだが、本書がしたためられたのはゴンブリッチがまだ就職する前の25歳のときだった、と知って驚く(ついでに訳者によるあとがきでゴンブリッチの母親がブルックナーの弟子だったという記述がありそれも驚いた。世紀末のオーストリア、って感じだ)。教科書的なストーリーをなぞりつつも面白いのは、その時代時代の暮らしぶり、つまりは生活史を紹介しているところで、これが本書の大きな魅力を作っているように思う。「この百年戦争の時代が事実はすばらしく、華やかな時代であったことを想像できるだろうか」。こんな記述がたとえば、そうなんだ、という学びや気付きを与えてくれる。