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文化的消費活動の日記

坂口恭平 『継続するコツ』

今年は2月ぐらいに訳もなくグッと落ち込むことがあり、すがるようにして坂口恭平の本を読んでいた時期があった。今年最後に読み終えた本も坂口恭平。継続。英語の勉強、筋トレ、早寝早起き、今年は禁酒も訳あってはじめた。自分ではかなり継続が得意な方だと思うが、本書で説かれている制作に関する継続と自分がやっている継続とでは、まるで種類が違うということを確認する。自分の継続が、他者の欲望に縛られた(他者によって価値付けられた、そのほうがベターであると指し示した指標に従う)実に神経症的なものであるのに対して、本書の継続とは、自らの欲望に素直になることであり、自ら法を作り上げることのように読める。法の創造、あるいは構築。それが制作が直結する態度なのだとしたら、他者の欲望に縛られる継続とは労働として位置づけられるかもしれない。自らの特異性と向き合うことと創造の関係性を示したモデルケースとしても本書を読むことができそうだ。