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文化的消費活動の日記

石川美子 『ロラン・バルト: 言語を愛し恐れつづけた批評家』

 

「そういえば、フランス現代思想に興味をもったのも、鷲田清一の『モードの迷宮』のなかで触れられたロラン・バルトだったかもしれないなー(たぶん高校2年生ぐらい)」とか最近思い出していたのだけれども、バルトの著作はただの一冊も読んだことがないのだった。

で、最近になって千葉雅也とかロザリンド・クラウスの本とかで、バルトの名前に触れる機会があり「そろそろ、ちゃんと読んでみる時期なのかもしれない……」と、まずは入門書的なものを。 バルトの生涯を追いながら、その思想・テクスト(あるいはテクストの生み出し方)の変遷について解説した本。コンパクトにまとまっていてありがたい。

一言で言うならば、ロラン・バルトの多動力。これが「いまの気分」的な感じだったのだよな。文学、音楽、演劇、絵画、ファッション……さまざまなものを取り上げてて、じゃあ、専門ってなんなの、バルトってなんの人なの、って感じなのだが、このふわっとした感じ、定まらない/定めない感じが、今っぽい。育成環境も、貧窮と裕福を行ったり来たりしてたみたいで、そういう引き裂かれた感じ、が影響してんのかな〜、と思ったりする。

これから著作の方も読み進めていきたい。プルーストの再読も再開したい気持ちに。