sekibang 3.0

Nouvelle茶人、あるいは勉強家によるブログ

ロラン・バルト 『モードの体系: その言語表現による記号学的分析』

バルトの著作のなかでももっともメジャーな一冊であり、記号学の代表的な本。モード雑誌における衣服の言語表現がどのようになされるのかを体系的に整理したものだが、いま読む価値がどこにあるんだろう……的なものだと思う。こういう方法論が別な対象において横展開される見通しもなさそうだし、なによりバルト自身も後年「当時のわたしは、記号学という「科学」に自分を同化させることができないかと熱心 に考えていました。わたしは、科学性という(幸福な)夢を見ていたのです」と本書について語っている。「文系が科学っぽい手続きでやってみるテスト」的な悲しい本に見えなくもない。