sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

福尾匠 『日記〈私家版〉』

tfukuo.booth.pm

研究者であり、批評家の福尾匠による2021年1月20日から2022年1月19日までの日記。↑のリンクはPDF版だが、書籍(わたしが持っているものは121番のシリアルナンバーが振られている)は日めくりカレンダーのように製本されていて(実際に日めくりカレンダーのようにも使用することができる)、届いてから、届いた日付までを一気に追いつくようにして読み、それからだいたい1日1ページずつ読んでいった。つまり、2023年1月19日には2022年1月19日の日記を読む、といった具合に。

Web上で連載(?)されている日記はRSSリーダーに登録してほぼすべてリアルタイムで読んでいたと思う(そして今も読んでいる)。ということは2022年1月20日には2022年1月19日の日記を読んでいたのだろう。ある人間が残した記録がこうして何度も他者の目にあらわれる。晩年のバルトのようにアンシダン(incidents)なものが、繰り返し読まれることが可能な、いや、繰り返し読まれることを促すような製本で存在している。その面白さ。Web上ではそのような促しは(おそらく)ありえず、物体として持っていてよかった、と思えるアイテムである。

2022年1月19日の日記で紹介されているナラ・シネフロのアルバム。この素晴らしいアルバムを思い出しもする。

2023年1月18日、あるいは値上げ

4時半に起きる。夢のなかでFさんの日記を読んでいた(夢のなかでもインターネットをしている)。起きて足首のテーピングを貼り直す。だんだん上手になってきた。英語ルーティン。NBCで糖尿病治療薬が痩せ薬みたいにSNS上で持て囃され、乱用に近い状況が起きていると報じられている。

Hを幼稚園に送り、戻って、筋トレ、腹筋。

 
 
 
 
 
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『12』のCDを大きな音で聴きながら仕事。あいまに淡々と本を裁断してスキャンをかけたりする。

自分のはリーフレットついてないやつだった。

夕食はスシロー。好きなものを食べると普通に高いファミレスぐらいになっちゃう価格帯になってしまったなぁ。

帰りに「Brutus」を買って帰る。

 

2023年1月17日、あるいは『12』

4時半に起きる。会社の交通費精算が駅の券売機でできる仕組みになっている。過去に買った切符を入力するとその場で現金が返ってくる。とくに乗車した証明や領収書のようなものは必要なく「これじゃ不正し放題じゃないか……」と思いながら手続きをする夢。

英語ルーティン。

仕事前にジム。胸、腕。

BOOK OF ROMANCE & DUST

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ティーヴ・ジャンセンの最近のバンドを聴きながら。ポストモダン演歌みたいな感じ。

12(CD)

12(CD)

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帰宅して坂本龍一の新譜を聴きながら仕事を開始(CDを注文しているがサブスクで)。聴きながら自分がなにを聴いているのか、という意識を忘れさせる。本作ではこれまでの坂本龍一の作品にあった手癖のような(ほかの作曲家のアイデアの借用も含めた)が抜けている。後半に収録されたピアノ演奏には坂本龍一の記名性を感じるが、これまでよりもずっと曖昧だ。音楽的なすごさは別として、坂本龍一という音楽家の個人史のなかで「こういうところに到達したのか」という重要性があるように思う。この音の少なさに、研ぎ澄まされている、という言葉は似つかわしくない。しずかに、淡い。水を張った桶の、水面に水彩の絵の具を落として、その色彩が淡く広がっていくような音楽。

適当に昼食を済ませて本屋で立ち読み、そしてコーヒー豆を買う。帰宅したらHの部屋でWiFiが入らない問題を解決するために手配した(会社が貸してくれる)ポケットWiFiが届いていたのでセット。Softbankの端末。自宅はSoftbankの電波も良くない。そのせいか全然速度が出てない。

窓辺のコンセントから電源を供給し、据え置きのルーターのような設置をしてようやくこの速度。上りが全然でてない。結構ギリギリな気がする。とりあえず会議をしてみたら問題なさそうではあったが……。

夕方になって中継機も届く。こっちでようやく自宅全域にWiFiが飛ぶようになった……(大して広いわけではないのだが建物が古いせいなのかずっと問題がある状態だった)。さっそく届いた会社のポケットWiFiが無意味になってきたが、それはそれで緊急事態(?)用に稼働させておくことにしよう。

 
 
 
 
 
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中古で買った『Pulse』も届いた。

 

 

2023年1月16日、あるいはJansen & YT

4時半に起きる。通っていた福島市立平野小学校の校舎が夢に出てくる。校門に続いている道はファストフード店で栄えていて(実際はそんな風になっていない)下駄箱のところに入っていき、自分の上履きを探そうとするのだがどこにもない。そもそも自分が何年何組かもわかっていないし、メガネがやけに汚れている。途方に暮れながら起きた。

英語ルーティン。

ラジオで流れていた。冨田ラボがらみっぽい感じがツボ。ルイス・コールっぽさも。

仕事前にジム。足首を確認しながら背中。

(エン)

(エン)

  • アーティスト:RYUTist
  • PENGUIN DISC
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去年の11月に出てた新潟のアイドルのアルバム。楽曲が全然アイドル然としてなくてすごい。

 
 
 
 
 
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昼はフォー。

1on1をしていて電波の悪さが問題になったので中継機を注文。

ChatGPTを使って同僚とワイワイしていたら夕方になっていた。倫理的にどうかと思われる質問に関しては、たしなめるような回答を返すなど気が利いている。

ベンチプレス130kgをあげるすごい同僚の代わりに質問した(1)

質問(2)

質問(3)

最後、めっちゃちゃんとした回答になってると思う。

夕方、スティーヴ・ジャンセンのTwitterを見たら昨年の12月から高橋幸宏についてTweetを繰り返していて、彼には状況が伝えられていたのかな、と思う。そして、ふたりのコラボレーション作品があったことを知る。

STAY CLOSE

STAY CLOSE

  • T・E・N・T
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これは持っていなくては! と思い、中古盤を安く購入。ラッキーだった。高橋幸宏のメロディ・センスと歌い方ってデヴィッド・シルヴィアンに似てると思う。

2023年1月15日、あるいは行動原理

5時過ぎまで寝る。布団が気持ち良すぎる。かつては栄えていた島(いまは無人島)をニートが再開発するプロジェクトに参加している夢をみた。島の廃校の図書館が異様に充実していて、プルーストベルクソンの翻訳が揃っている。これをどうやって自分のものにしようか、と考えていた。プルーストは単行本のバージョンで(集英社の鈴木道彦訳)これは挿絵が単行本よりも入ってるんだよなぁ!(文庫で持ってても持っている意味がある!)と夢のなかでも行動原理が一貫している。

英語のハノン後、「エヴァ」。あらためてコレが28年とか前のアニメなんだなぁ、と思う。30代の監督に、20代の役者によって作られた作品。エヴァを観ながらTwitterを見てたら高橋幸宏の訃報に気づく。

 
 
 
 
 
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朝から一本映画を観る。

終わって筋トレ。胸、腕、下半身。その後、サッカー。練習をはじめてすぐに過去最大レベルの捻挫。悶絶。帰ってからテーピングをした。しかし、かなりの痛み。靴の脱ぎ履きにも難儀する。

 
 
 
 
 
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部屋の電気を落として届いていたレコードを聴いていく。

Sinking Of The Titanic [Analog]

Sinking Of The Titanic [Analog]

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夜は、温野菜へ。家族では初めて。めちゃくちゃ腹いっぱいになる。

帰宅してドンブラザーズ。雪のシーンが明らかに気合い入っていて機材のレベルから違うのでは、ってぐらいに画質が違っている。韓国ドラマみたいだった。すごい。

2023年1月14日、あるいは聴いていく

6時まで寝る。昨晩はその前が寝不足だったので一瞬のうちに眠れた。Hも起きてきたので朝食を準備。その後、英語のハノン。

『Nefertiti』の2023年リマスターというのが出ていた。AI技術で音を分離させて空間オーディオ化する、みたいなことをやっているっぽい。元々はほんの少しこもった音がしてたと思うのだが、一枚その「こもり」を剥ぎ取った音になっている。トニー・ウィリアムスのドラムの変化が一番わかりやすい。叩いたスネアの表情がより繊細に聴こえる仕上がり。叩かれている皮の状態が見えるみたいだ。こういうのを『On the Corner』でやって欲しい。

 
 
 
 
 
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朝イチで映画。昼食はららぽーとのフードコートで。マクドナルドのモバイルオーダーが最強すぎる。ほかの店もモバイルオーダー対応しないとマックの一人勝ちになりそう、ソフトウェアの勝利って感じだ。

楽器屋でヴァイオリンの弦を買って家に帰って張ってみる。こないだA線を切ってしまったのだった。しかし、初めて弦の値段を知って思ってた値段の3倍ぐらいしてビビった。ギターの弦とは全然違う。

 
 
 
 
 
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新しい靴紐が届いていたので交換してみる。

読みおえる。漫画の一文字隼人もテレビのようにすこしコミカルな性格をしているのだが、話は本郷猛編よりも暗くハード。「シン・仮面ライダー」もこのテイストだったら……。

 
 
 
 
 
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夕方、ようやくこないだ届いていたものを聴きはじめるモードに。

Green [Analog]

Green [Analog]

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さらに積読のなかから軽そうなものを探して読みはじめる。一冊目は、かなり前にゴミ捨て場に捨ててあった、ある写真家の日記本だったのだが、開いてみたら「あ、この人ヤバい人じゃん」と思ってすぐにまたゴミへ回した。家に置いておくのも嫌な感じ。ものすごい身勝手な感性が表れているようだった。

次に手に取ったのが向田邦子で、これも読みたいと思いながらも向田邦子の名前に苦手なお笑い芸人の顔がチラつくのでなかなか読めずにいた。しかし、面白い。

2023年1月13日、あるいはシンギュラリティ

5時に起きる。連日変な夢を見て、昨晩も変な夢を見た気がするが忘れてしまった。少し寝不足気味、というかちゃんと疲れがとれていない。疲れを感じながら英語ルーティン。

今日から在宅での仕事に切り替え。Hの部屋を借りて仕事する。こども部屋おじさんだ。暖房代がもったいないので米軍のフリースを着て、足元には毛布をかぶせて作業をすすめる。上板橋のアパートに住んでいたときのような感覚。米軍のフリースにはポーラテックが使われていて朝洗ったら午前中のうちに乾いていた。すごい速乾性。しかし、古着の匂いって全然とれない。一度洗ったぐらいじゃダメだ。

さらなる暖かさを確保するため、暖かそうなルームソックスを注文。

午前中に少し仕事を片付けて朝ジム。背中。デッドを85kgに上げる。

ユリイカ」のゴダール追悼特集を注文しておく(値段におののきながら)。

夕方、戯れにChatGPTに仕事に関する質問を投げてみる。驚くべきそれっぽさで回答が返ってくる。シンギュラリティ!!!  こんなものが人口に膾炙したらコンサルとかマジでいらなくなるんじゃないか、って感じがするが、AIに良い回答をもらうための質問力が重要になるんだろう、と使っていて思う。棋士がAIで研究を進めるようなありかた。