sekibang 3.0

文化的消費活動の日記

福尾匠 『日記〈私家版〉』

tfukuo.booth.pm

研究者であり、批評家の福尾匠による2021年1月20日から2022年1月19日までの日記。↑のリンクはPDF版だが、書籍(わたしが持っているものは121番のシリアルナンバーが振られている)は日めくりカレンダーのように製本されていて(実際に日めくりカレンダーのようにも使用することができる)、届いてから、届いた日付までを一気に追いつくようにして読み、それからだいたい1日1ページずつ読んでいった。つまり、2023年1月19日には2022年1月19日の日記を読む、といった具合に。

Web上で連載(?)されている日記はRSSリーダーに登録してほぼすべてリアルタイムで読んでいたと思う(そして今も読んでいる)。ということは2022年1月20日には2022年1月19日の日記を読んでいたのだろう。ある人間が残した記録がこうして何度も他者の目にあらわれる。晩年のバルトのようにアンシダン(incidents)なものが、繰り返し読まれることが可能な、いや、繰り返し読まれることを促すような製本で存在している。その面白さ。Web上ではそのような促しは(おそらく)ありえず、物体として持っていてよかった、と思えるアイテムである。

2022年1月19日の日記で紹介されているナラ・シネフロのアルバム。この素晴らしいアルバムを思い出しもする。