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文化的消費活動の日記

篠原信 『自分の頭で考えて動く部下の育て方: 上司1年生の教科書』

 

自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書

自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書

 

著者は農学系の研究者(人事とか、コンサルとかこの手の本を出しそうなエキスパートではない)のだが、大変に良い本だと思う。「上司1年生の教科書」というサブタイトルに偽りなし。

基本的な方針としては、

  1. 新人はできないのが当たり前という前提の上で
  2. 上司はあれこれ指示出しせずに方向性だけ示して、上手いこと行かせたい方向に進ませる
  3. それをあとから反省させたり、良いフィードバックを与える

こういうプロセスを繰り返しおこなうことで、自分の頭で考えて動く部下が育つんだ、と。このためにどうすれば良いのか、アンチパターンも含めて丁寧に解説してある。自分より年上だったり、ベテランの部下への接し方もカヴァーしてあってありがたい。

部下(または自分が指導する相手)を持つ立場になって 、それなりに時間が経つけれど、これまでうまく行かなかったことを反省する機会になったし、自分が「良い上司だなぁ」、「この人は育成が上手いなあ」と思っていた人のふるまいの意味について「ああ、あれはこういうことだったんだな」という気づきを得ることができた。

本書に書かれたような指導を受けなくても育つ人っているよね、と考えたのだけれども、そういう人はたぶん自分のほうから上司に働きかけて、良い指導を引き出すことができているんだろうな。そういう意味で、本書は部下側が読んでも良いんじゃないか。まともに指導ができない上司から良い指導を引き出すために部下が頑張る、ってなかなか涙ぐましい話ではあるけれども……。